Alice in Wonderland Syndrome
自己認識と外界との間にアンバランスが生じ, 自分の身体のサイズ(全体, 部分的)を誤って認識したり, 外界の空間を誤って認識したりする現象.
・頭が大きい, 手が大きい, 体全体が小さい/大きいなど, 不思議の国のアリスのような世界観となるため, Alice in Wonderland Syndrome(AIWS)と呼称される.
・体性感覚の知覚症状のみのType A(9%程度)
視覚的な錯覚のみのType B(75%程度)
両者が共存するType C(16%程度)に分類される
・側頭頭頂-後頭葉の交点(Temporoparietal-occipital carrefour)が関連している可能性が示唆されている
(Biomed Res Int. 2016;2016:8243145.)
AIWSで経験する可能性がある視覚的症状(メタモルフォーゼ)
(Neurol Clin Pract 2016;6:259–270)
・色の認識の異常: 白黒に見える, 単一色で見えるなど.
物体の認識の異常: 動きが認識できない, 表面の皺が認識できない, 細かい部分が強調されるなど , 輪郭が強調される, 波打つように見える , 距離や大きさを誤認する, 平坦に見える, 長く見える , 複眼のように物体が複数に見える , ずれて見える・・・など様々な視覚症状がある.
・特に報告頻度が高いものは,
色の認識の異常,
線や輪郭が波を打って見える
物体が動いているように見える
ものが実際よりも大きく/小さく見える
ものが実際よりも遠く見える, といった症状
AIWSで経験する可能性がある身体, 非視覚的症状
(Neurol Clin Pract 2016;6:259–270)
・身体の一部が占める空間を誤って認識する(大きく/小さく) , 身体の一部が大きく/小さく自覚する , 身体の全体が大きく/小さく自覚する, 周辺環境/自分自身の現実感の消失 , 空気のなかを漂っているような感覚, 心理的時間の加速/減速 , 体が2つに分かれる感覚(通常, 真ん中から下部で分かれる)といった症状.
・特に報告の頻度が高いのは,
現実感の喪失,
身体の一部/全体のサイズの変化
心理的時間の加速
AIWSの原因: 成人では片頭痛やてんかん, 小児ではEBV感染症での報告が多い
169例の症例報告のReview
(Neurol Clin Pract 2016;6:259–270)
・原因は大きく8つのカテゴリーに分類される;
・感染症: 小児の原因の21.7%. 特にEBV感染症での報告が多い.
CNS病変: 全体の7.8% PNS病変
発作性神経疾患: 全体の31%. 特に片頭痛が27.1%. 成人で特に多い
精神疾患
薬剤性
違法薬物, 毒物
その他