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2021年6月24日木曜日

新規の経口血糖降下薬: Imeglimin

 新しい経口血糖降下薬が国内で承認されたとの話を聞いて, 調べてみました.

Imeglimin: イメグリミン.(ツイミーグ®)

Imegliminは新しいクラスの経口糖尿病薬(2021年)

・ミトコンドリア呼吸鎖複合体Iを部分的に阻害し, ミトコンドリア機能を改善させるとともに, 活性酸素の発生を抑制する.

・膵臓β細胞のグルコースへの感受性を改善させ, インスリン分泌を増大させる作用がある

・また, 肝臓における糖新生の抑制, 筋骨格系での耐糖能障害を改善させる

・メトホルミンと構造が類似しており, メトホルミンもミトコンドリア呼吸鎖複合体Iを軽度抑制する作用があるが, 双方はメカニズムが異なる.


 メトホルミンやシタグリプチンへの追加投与を行っても, イメグリミンは有効且つ安全であることが示されている. また, 乳酸アシドーシスリスクも少ないらしい

(Diabetes Obes Metab. 2021;23:800–810.)


日本人の2型DMを対象としたPhase 2b trial(DB-RCT)

(Diabetes Obes Metab. 2021;23:800–810)

・20-75歳, BMI ≥18.5, 生活/栄養指導は行われ, 


 DM薬物治療が未(12wk以上使用されていない)群と


 1種類のみ使用されている症例(12wk以上投与量一定)で,
 

 HbA1c 7.0-10.0%である患者群を対象.

・除外項目は注射投与のDM薬剤の使用, CKD(3b,4,5), 心不全(NYHA III-IV), 6ヶ月以内のACS, CVD.

上記患者群を
Imeglimin 500, 1000, 1500mgを1日2回内服 vs Placeboの4群に割り付け, 24wk継続. 血糖コントロールを比較.

母集団


アウトカム

・24wkにおけるHbA1cは 1000-1500mg bid投与群で
Placeboと比較して -1%程度

・主に耐糖能障害の改善が良好

副作用

・1500mg bidの使用では薬剤由来副作用が24%と多いが重大な副作用は少ない


 1000-1500mg bid群では副作用による治療中断が7%弱

・消化管副作用が多い

副作用の観点からは日本人には1000mgがBetterか


TIMES 1: Imegliminの国内のPhase 3 trial

(Diabetes Care 2021;44:952–959)

・国内の30施設におけるDB-RCT.

・対象は≥20歳の2型DMで, 栄養指導のみ, 

 または経口血糖降下薬1剤のみを12wk以上一定の量で使用し, 

 HbA1c 7.0-10.0%を満たす群を対象

・除外項目は注射投与のDM薬剤の使用(30日以内), CKD(eGFR <45mL/min/1.73m2), 心不全(NYHA III-IV), 24wk以内のACS, CVD.

(ほぼPhase 2bと同じ)

・上記を満たす患者群を
Imeglimin 1000mg bid vs Placebo群に割り付け, 24wk継続
血糖コントロールを比較.

母集団


アウトカム

・24wkにおけるHbA1cは, Imeglimin群でPlaceboと比較して-0.87%

・未治療患者群では, 
Imeglimin群で-0.81%[-0.96~-0.67], AD -0.87%[-1.07~-0.67]

・既治療患者群では, Imeglimin群で-0.51%[-0.73~-0.29], AD -0.84%[-1.16~-0.52]

・低血糖エピソードは, Imeglimin群で2.8%(3名), Placebo群で0.9%(1名)
, 重症例は無し


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新薬なので, 今後の蓄積データによる副作用や問題点の懸念はありますが,
経口薬剤の選択肢が増えるのはありがたい.