新しい経口血糖降下薬が国内で承認されたとの話を聞いて, 調べてみました.
Imeglimin: イメグリミン.(ツイミーグ®)
Imegliminは新しいクラスの経口糖尿病薬(2021年)
・ミトコンドリア呼吸鎖複合体Iを部分的に阻害し, ミトコンドリア機能を改善させるとともに, 活性酸素の発生を抑制する.
・膵臓β細胞のグルコースへの感受性を改善させ, インスリン分泌を増大させる作用がある
・また, 肝臓における糖新生の抑制, 筋骨格系での耐糖能障害を改善させる
・メトホルミンと構造が類似しており, メトホルミンもミトコンドリア呼吸鎖複合体Iを軽度抑制する作用があるが, 双方はメカニズムが異なる.
メトホルミンやシタグリプチンへの追加投与を行っても, イメグリミンは有効且つ安全であることが示されている. また, 乳酸アシドーシスリスクも少ないらしい
(Diabetes Obes Metab. 2021;23:800–810.)
日本人の2型DMを対象としたPhase 2b trial(DB-RCT)
(Diabetes Obes Metab. 2021;23:800–810)
・20-75歳, BMI ≥18.5, 生活/栄養指導は行われ,
DM薬物治療が未(12wk以上使用されていない)群と
1種類のみ使用されている症例(12wk以上投与量一定)で,
HbA1c 7.0-10.0%である患者群を対象.
・除外項目は注射投与のDM薬剤の使用, CKD(3b,4,5), 心不全(NYHA III-IV), 6ヶ月以内のACS, CVD.
・上記患者群を Imeglimin 500, 1000, 1500mgを1日2回内服 vs Placeboの4群に割り付け, 24wk継続. 血糖コントロールを比較.
母集団
アウトカム
・24wkにおけるHbA1cは 1000-1500mg bid投与群で Placeboと比較して -1%程度
・主に耐糖能障害の改善が良好
副作用
・1500mg bidの使用では薬剤由来副作用が24%と多いが重大な副作用は少ない
1000-1500mg bid群では副作用による治療中断が7%弱
・消化管副作用が多い
・副作用の観点からは日本人には1000mgがBetterか
TIMES 1: Imegliminの国内のPhase 3 trial
(Diabetes Care 2021;44:952–959)
・国内の30施設におけるDB-RCT.
・対象は≥20歳の2型DMで, 栄養指導のみ,
または経口血糖降下薬1剤のみを12wk以上一定の量で使用し,
HbA1c 7.0-10.0%を満たす群を対象
・除外項目は注射投与のDM薬剤の使用(30日以内), CKD(eGFR <45mL/min/1.73m2), 心不全(NYHA III-IV), 24wk以内のACS, CVD.
(ほぼPhase 2bと同じ)
・上記を満たす患者群を Imeglimin 1000mg bid vs Placebo群に割り付け, 24wk継続 血糖コントロールを比較.
母集団
アウトカム
・24wkにおけるHbA1cは, Imeglimin群でPlaceboと比較して-0.87%
・未治療患者群では, Imeglimin群で-0.81%[-0.96~-0.67], AD -0.87%[-1.07~-0.67]
・既治療患者群では, Imeglimin群で-0.51%[-0.73~-0.29], AD -0.84%[-1.16~-0.52]
・低血糖エピソードは, Imeglimin群で2.8%(3名), Placebo群で0.9%(1名) , 重症例は無し