横紋筋融解症についてはコチラも参照
また, 2013年に発表された横紋筋融解症と死亡 or 透析が必要なAKIのリスクについてはコチラも参照
横紋筋融解症の重要な合併症の1つに腎障害がある.
重症例では透析が必要となるほどの重篤なものとなるが, 原因によってはCPKが著明に上昇していても腎障害を全く起こさずに経過する例も多い.
ERで診療した際, 入院させて補液負荷を行うか, 外来フォローとするか, 迷っている人も多いように見受けられる.
どのような要素が腎予後に関連するかを知っておくのは重要である.
ICUにおける3つのCohort studyにおいて, 横紋筋融解症と透析療法が必要となる腎障害リスク因子を評価した報告.
(American Journal of Emergency Medicine 46 (2021) 38–44)
・2つの米国におけるCohort: eICU-CRD, MIMIC-IIIにおいて, リスク因子を評価しスコアを作成. さらに中国におけるCohort, PLAGHにおいてValidationを施行
・患者は>18歳のICU患者で, 横紋筋融解症と診断された群.
・除外項目はピークCPK<1000 U/L, 入院期間が<2d, 予後不明, データに明らかなに状況とは異なるエラーが存在すると判断された症例.
・患者群はeICU-CRDより614例, RRTは15.0%
MIMIC-IIIより324例. RRTは17.6%
PLAGHより321例. RRTは5.6%
・Dataは入院から24h以内に評価したものを使用した.
母集団
リスク因子より作成されたNomogram
各データセットにおけるAUC
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2013年のStudyと比較すると, Cr高値, P高値, Ca低値, CPK高値は共通した因子.
2013年では高齢者ほどスコアが高いが, これでは年齢が低いほどスコアが高い(Derivation data setでは透析導入患者群は若年が多いが, Validationでは透析導入群の方が年齢が高い)
また, 横紋筋融解症の原因が含まれているのは2013年であり, この報告では原因は特に区別されず, あくまでも早期の検査値のみで判定されている. そこが年齢にも影響している可能性はある(2013年の報告では痙攣, 失神, 運動, スタチン, 筋炎によるものはリスクが低い)
他にはAfの有無, HCO3値, 性別がそれぞれで含まれる.