(Medicine 2021;100:8(e23833).)
粟粒結核は結核が血流に乗り全身に播種する病態であり, 肺全体に小結節を認める所見が特徴的.
肺内にできるおびただしい数の小さな病巣が、鳥の餌に含まれる小さな丸い粟(あわ)程度の大きさであることに由来する.
初期に粟粒結核が診断できなかった症例の画像的な特徴を評価した報告.
微生物学的に診断された粟粒結核 117例をReview
・初期のCT検査にて, 粟粒結核を鑑別診断で提示できなかった症例を, Missed miliary TBと定義し, Missed miliary TBの画像, 臨床的特徴を評価
・117例中, 13例がMissed miliary TB(11.1%)
・両群の背景比較では, Missed miliary TBはより高齢者 71.0歳 vs 57歳
他の背景疾患や免疫不全の有無は有意差無し
CT画像所見の比較では,
・Missed miliary TB群では
より境界不明瞭の: 84.6% vs 14.4%
<2mmの小結節が多い: 69% vs 12.5%
分布の範囲も46%が<25%の狭い範囲である.
また, 中心部に分布するパターンも15%であり
肺結核の瘢痕やGGO, 小葉間隔壁肥厚, 二次性TBの所見は両者で有意差無し
A: 典型的な粟粒結核の所見: 境界明瞭な2-4mmの小結節がランダムに分布
B: 境界不明瞭, <2mmの小結節が分布し, 荒い粒状の陰影
・見逃し例の初期診断は非特異的炎症性結節, ウイルス性肺炎, 薬剤性, 悪性腫瘍の肺転移
・5/13が2ヶ月以内(29日[15-55])に再度CTを評価され, その際典型的な粟粒結核所見が認められた.
見逃された粟粒結核の一例
・73歳女性, DLBCLで治療中.
・矢印は結核既往に関連する結節.
両側のランダム状に分布する<2mmの境界不明瞭の荒い粒状影.
・初期はウイルス性肺炎や薬剤性肺炎が鑑別として挙げられていた.
粟粒結核見逃しのリスク因子
・境界不明瞭な<2mmの結節: 荒い粒状影 という印象は大事かも
・そのような患者ではフォローCTも考慮.