特発性低髄圧症候群については以下も参照
特発性低髄液圧症候群 Spontaneous Intracranial Hypotension(SIH)
疾患自体が少ないため, なかなかまとまった報告がでないが, この度 Systematic review, Meta-analysisが発表されたので臨床的特徴を紹介する
(JAMA Neurol. 2021;78(3):329-337. doi:10.1001/jamaneurol.2020.4799)
33 articles, N=1694例の症状頻度・頭痛は98.6%で認められる.
起立時の頭痛が97.7%
部位はびまん性, 後頭部, 前頭部など様々な部位となる
・他は悪心嘔吐, 頚部痛, 耳鳴, めまいなどが半数以下で認められる髄圧評価では
・初圧 <60mmH2Oと低下していた例が67%[54-80]
60-200mmと正常例が32%[20-44]
脳MRIの所見頻度
・びまん性の造影を伴う硬膜肥厚の頻度は~80%程度
・初圧 <60mmH2Oと低下していた例が67%[54-80]
60-200mmと正常例が32%[20-44]
>200mmと亢進していた例も3%[0-6]であり
・びまん性の造影を伴う硬膜肥厚の頻度は~80%程度
・正常所見が2割程度
DPE | 73%[67-80] |
VE | 57%[40-74] |
BS | 43%[32-54] |
EPG | 38%[15-60] |
SDC | 35%[28-42] |
NR | 19%[13-24] |
DPE: びまん性の造影される硬膜肥厚
VE: 静脈怒張(横静脈洞の拡張所見)
BS: 脳の下方陥凹(トルコ鞍上の脳槽の欠如, 視交叉が下垂体窩へ傾く所見, 斜台に対して橋が平坦となる所見, 小脳扁桃が下方へ陥入する所見)
EPG: 下垂体腫大
SDC: 硬膜下水腫
NR: 正常
脊髄MRI所見の頻度
・髄外への髄液漏出所見の頻度は48-76%
・漏出部位は胸椎が41%[29-52], 頚胸椎移行部 14%[10-17]
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頻度が高い所見としては起立時に増悪する頭痛
検査ではMRI正常が2割あり, 髄圧評価も低下している例は7割弱と感度は低い.
検査が正常でも除外しきれないと考えた方が良い