こちらも参照
急性疾患入院患者における院内DVTの頻度
ICU患者ではVTE予防を行うのは一般的となっているものの, 非ICUの内科入院患者ではまだその意義は確立されてはいない.
そもそも内科入院患者のVTE発症リスク評価自体がまだ定まっていない.
現在提唱されている, 3つのリスクスコアの有用性を評価した報告
(J Thromb Haemost. 2020;18:1398–1407.)
PREVENU trialに参加した患者群を後ろ向きにReviewし各入院患者VTEリスクスコアの有用性をValidationした.
・患者は40歳以上で, 内科病棟に2日間以上の入院した患者群.
・3ヶ月間フォローし, VTEリスクを評価
・重症患者
入院48h以内に診断されたVTE
抗凝固療法が行われている患者
外科手術を施行した患者は除外
・PREVENU trialは上記患者群において, ER医がVTE予防の介入を行うか, 通常のケアのみで入院させるかに割り付け比較したRCT.
・これに参加した患者群14660例において, リスクスコアの有用性を評価.
・VTEリスクスコアは,
Capriniスコア≥3
IMPROVEスコア≥2(中等度が≥2, ≥4は高リスク)
がリスクありと判断
Studyの母集団
アウトカム
・3ヶ月間のフォローにて, 1.8%(263例)が症候性のVTEを診断
致命的なPEが8例(3.0%)
48%(127例)は他に原因のない突然死→ possible fatal PE
13%(33例)は遠位DVT
・VTE発症までの期間は22日[10-46]
・VTEを発症したうちの57%は抗凝固療法による予防あり
(VTE発症しなかった群では46%で予防)
各スコアのROCは, 抗凝固予防を行っていない患者群でも, 全体でも0.6-0.7程度でほぼ同等.
各リスクスコアの感度, 特異度, PPV, NPV
非重症例の内科入院患者におけるVTEリスク評価は難しい. リスクスコアも特に秀でているものはなく, 高齢者という要素だけで十分になってしまう.
その高齢者の要素だけでもリスク評価としてはイマイチ.
内科入院患者でも予防するとなると, まだまだ患者を絞る方法が確立しないと難しい.