マインドフルネストレーニングについてはこちらを参照
https://www.emalliance.org/emaforus/essential/individual/mindfulness_training
慢性疼痛に対する効果も認められている非薬物治療の一つです.
この効果を片頭痛に対して評価したRCT
(JAMA Intern Med. 2021;181(3):317-328. doi:10.1001/jamainternmed.2020.7090)
片頭痛に対する, Mindfullness Meditationと頭痛の教育群に割り付け, 頭痛頻度とQOLを比較したRCT.
・月に4-20日間 片頭痛を認める患者89例を対象とし, Mindfulness-based stress reduction(MBSR) vs 片頭痛の教育群に割り付け.
・これらは週に2時間行われ, 8週間継続された.
・アウトカムは12週間の頭痛の頻度とQOLなど.
・除外項目は既にMind-body practiceを受けている人, 不安定な医学的, 精神的な状態, 重度のうつ病, 片頭痛以外の慢性疼痛, Medication overuse headache, 妊婦/妊娠予定, 新しい片頭痛の薬剤を使用(4wk以内)など
患者群は, 事前に[薬剤に頼らず, 頭痛を緩和するための情報を学ぶ会]と説明され, 両群に割り付け.
・会の内容の詳細の説明は行われず, 割り付けられている.
・使用している薬剤はそのまま継続された.
・MBSRはインストラクターにより, Mindfulness meditationとヨガが行われ, 片頭痛に対する介入は行わず. オーディオファイルが渡され, 自宅で1日30分続けるようにも指導.
・頭痛の教育では, 頭痛, 生理学, 誘因, ストレスの関連についての教育とアプローチを指導
(治療の詳細, プログラムは最後に載せます)
母集団
・頭痛の頻度はMBSR群で-1.6[-2.5~-0.7], 教育群で-2.0[-1.1~-2.9], AD -0.5[-0.9~1.7]と両群で有意差なし.
・しかしながら, 各指標
Migraine Disability Assessment-1 month(頭痛の程度を評価. 0-93点. 低いほど軽度. 0-5点はほぼ問題なし, 6-10は軽度, 11-20は中等度, 21-は重度)
Pain Catastrophizing Scale(0-52点で, 高いほど辛い頭痛)
PHQ-9(うつ症状の指標)
MSQv2.1(0-100点. 低いほど片頭痛に関連したQOLが良い)
などの指標が, MSBR群では良好となる.
MBSR, 教育のプログラム
週に一度、8週間、2時間のクラスに加えて、1日のオプションの "リトリート "を行います。
マインドフルネスは、座ったり歩いたりする瞑想、ボディスキャン(身体の各部分に連続して注意を向ける)、マインドフルムーブメント(ハタヨガ**をベースにした穏やかなストレッチで身体を意識する)を通して、体験的に養われていきます。呼吸の自然なリズムに注意を向けることを繰り返すことで、参加者は身体的・精神的な認識に注意を向ける能力を養うことができます。
参加者はマインドフルネスの体験を他の人と共有します。
インストラクターはまた、ストレスとストレス解消についての情報を提供し、参加者にストレス反応性のマイナスの影響を減らし、ストレスにポジティブに対応するためのより良い方法を開発するためにMBSRスキルを使用することを教えています。
マインドフルネス瞑想の正式な実践に加えて、参加者には、日常生活の中にマインドフルネスを取り入れ、日常生活の中でマインドフルネスを活用する柔軟な能力を養うために、日常的な活動(歯を磨く、シャワーを浴びるなど)が瞑想的な実践になるようにアドバイスしています。
各参加者には、同じ標準のガイド付き電子音声録音が与えられ、自宅で1日30分、少なくとも週に5日は練習するように勧められました。
**ハタヨガ: ポージングを基本とする, オーソドックスなヨガ. 多くのヨガの元になっている.
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マインドフルネストレーニングは, 片頭痛の頻度は頭痛教育と同等であるが, 頭痛の辛さやQOL低下を有意に改善させる効果が期待できる.
慢性疼痛にも効果が見込める非薬物治療ですし, 個人的には興味を持ちました.
ネットで検索すると, 精神疾患患者さんへ病院で行っているところもあるようですね.