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2016年1月20日水曜日

運動誘発性気管攣縮

運動誘発性気管攣縮: Exercise induced bronchoconstriction(EIB)

Review (BMJ 2016;352:h6951)のまとめ
EIB: 運動により一過性に下気道が狭窄する病態
・運動開始後 15分以内に出現し, 60分以内に改善することが多い
・改善後は40-50%は再度運動してもEIBが生じない
・EIBは運動開始時のみならず, 運動中に生じることもある
・EIBは喘息との合併が多いが, 喘息がない患者でも生じる

EIBの誘発因子
・運動により呼吸数が増加(85%以上)すると, 気道粘膜の乾燥が生じる
 気道粘膜が乾燥し, 一過性に気道浸透圧が上昇, その結果肥満細胞が活性化され, ヒスタミンやセリンプロテアーゼ, プロスタグランジン, ロイコトリエンなどMediatorが増加.
・その結果気管攣縮が生じる
・また呼吸回数が増加すると, アレルギー物質との暴露も増加

EIBは小児〜成人, アマチュア〜プロまで様々な人で生じ得る.
・アスリートの10-50%で認めるという報告もある 
 交通量の多い場所(アレルゲンが多い)を走ったり,
 化石燃料を使用している環境(スケートリンクの暖房),
 ウインタースポーツの環境(乾燥した空気)
 スイマー(塩素の吸引)などがリスクとなる.

EIBの症状
・EIBでは運動時, 運動後の喘鳴, 咳嗽, 胸部の締め付けが認められる.
 しかしながら特異的な症状は乏しく, それだけでは診断に至らない

EIBの診断
診断には誘発試験が有用.
誘発方法には直接法と間接法がある.
・直接法では気道粘膜を刺激する薬剤をネブライザーで投与する
・間接法では気道粘膜を乾燥させるような刺激を与える
・刺激前, 刺激後5分, 10分, 15分, 20分でスパイロメトリーを行いFEV1が10-15%以上低下が2回認められれば陽性と判断.

・誘発試験(直接法)では重度の気管攣縮のリスクとなるため,緊急時の対応, 酸素投与や気管支拡張薬の投与が迅速にできる施設で行う.

誘発試験で偽陰性となるリスク因子

EIBに類似した症状を呈する疾患
EILO (Exercise induced laryngeal obstruction)
・運動により喉頭閉塞をきたす病態.
・吸気時のStridorを生じ, それがWheezeと間違われることが多い.
・EILOは喘息やEIBと誤診されることが多く, 喘息の疑いで精査された運動選手の35%がEILO.
・EILOのStridorは運動と共に出現し, 運動を止めると速やかに消失
 一方でEIOのWheezeは運動を止めた後も残存する.
・EILOでは, 喘息の検査や誘発試験を行っても陰性となる

EIBの治療
非薬物治療
・ウォームアップをしたり, 高強度の運動と休憩を繰り返すことでFEV1の低下を緩和可能.
・また汚染が強い環境や乾燥した環境での運動を避けることも大事

薬物治療
・短期作用型β刺激薬吸入: 運動前のSABA吸入は有意にEIBを改善させるが, 連日の使用で効果は低下する
 週2-4回程度に抑えるか, レスキューとして使用すべき
・吸入ステロイド: 喘息とEIBが合併している患者では, ICSの使用が有効.
・ロイコトリエン受容体拮抗薬: レスキューとしての効果はないが運動の2時間前に使用することでEIBの予防効果がある
 予防効果は24時間続く

EIBの診断〜治療アルゴリズム

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