(Ann Intern Med. 2016;164:102-113.)
薬剤は以下の通り
Albiglutide(未承認)
Dulaglutide(トルリシティ®)
Exenatide(デビュリオン®)
Semaglutide(未承認)
Taspoglutide(未承認)
2016年現在, 国内のGLP-1アナログは
・Liraglutide(ビクトーザ®),
Exenatide(バイエッタ®, デビュリオン®),
Lixisenatide(リキスミア®)
Dulaglutide(トルリシティ®) がある
・デビュリオンとトルリシティは週1回製剤
・また経口薬としてSemaglutideが今後発売される可能性がある
各薬剤間の比較(効果)
・HbA1c低下効果, FBG低下効果は
Dulaglutide 1.5mgはExenatideと同等.
他の週1回製剤よりもHbA1c低下効果は良好
ただし, 国内では0.75mg製剤のみ.
Dulaglutide 0.75mgは他と同等の効果
・体重減少効果はDulaglutideよりもExenatideの方が期待できる.
・コレステロール低下作用はAlbiglutideでやや期待できる.
・血圧低下作用はDulaglutide 0.75mgよりもExenatideの方が期待できる
プラセボ群との比較(効果)
SITA: sitagliptin, MET: metformin, PIO: pioglitazone
dGLP1: daily GLP-1作動薬
dGLP1: daily GLP-1作動薬
・GLP-1作動薬はSU剤やインスリン強化療法よりもHbA1c低下効果が期待できる.
・Daily GLP-1阻害薬と週1回の効果も同等.
・GLP-1作動薬はDPP-4阻害薬(sitagliptin)よりもHbA1c低下効果は良好であり, 体重低下効果も期待出来る.
・DUL1.5は効果が高いが, 国内では0.75mgのみ.
・体重減少効果もGLP-1受容体作動薬はMETと同程度にあり.
各薬剤間の比較(副作用)
・GLP-1作動薬間では低血糖リスクはどれも有意差なし
・悪心はDUL0.75とEOWは同等.
プラセボ群との比較(副作用)
・GLP-1作動薬の低血糖リスクはプラセボと比較してOR 2程度だがインスリンやSU剤よりも低い
・悪心はGLP-1作動薬で多い副作用と言える.
--------------
GLP-1作動薬は皮下注射製剤ということで, 経口血糖降下薬と一線を画する印象がある.
ところが, 基礎インスリン療法と同等のHbA1c低下効果が期待でき, さらに体重減少も期待できる. さらに低血糖リスクは少ない利点がある.
患者によっては、皮下注射 = インスリン、ということで抵抗がある人もいるが, 週1回製剤や経口製剤がでればそれも緩和される可能性がある.
さらに, 個人的に期待しているのは, 基礎インスリン単独から, 強化インスリン治療へ移行する前に, 基礎インスリンと, GLP-1作動薬を併用させる方法である.
2型DM患者で, Insulin glargine ≥20U/d単独 or Metformin or/and Pioglitazone使用中でもコントロール不良(HbA1c 7.1-10.5%)の患者261名を対象としたDouble-masked RCT
(Ann Intern Med. 2011 Jan 18;154(2):103-12.)
・Exenatide 10µg SC bid vs Placeboに割り付け, 18-30wkフォロー.
Outcome; 脱落率はそれぞれ19% vs 18%と同等.
Outcome |
Exenatide |
Placebo |
Difference |
HbA1c ≤6.5% |
40%[30-49] |
12%[6-17] |
28%[17-39] |
~30wkの体重変化 |
-1.78kg[-2.48~-1.08] |
0.96[0.23-1.70] |
-2.74[-3.74~-1.74] |
低血糖; Minor |
25% |
29% |
|
低血糖; Major |
0% |
1% |
|
夜間低血糖 |
17% |
26% |
|
・HbA1cはExenatide群で有意に低下, また体重も低下する(-1.74%[-1.91~-1.56] vs -1.04%[-1.22~-0.86], P<0.001)
GLP-1作動薬 + 基礎インスリン治療を評価したMeta
(Lancet 2014; 384: 2228–34)
・GLP-1 + 基礎インスリン療法は, 対象と比較して,
アウトカム
|
比較
|
|
HbA1c(%)
|
vs Control
|
WMD -0.44[-0.60~-0.29]
|
|
vs 基礎インスリン単独
|
WMD -0.10[-0.17~-0.02]
|
HbA1c≤7.0
|
vs Control
|
RR 1.92[1.43-2.56]
|
|
vs 基礎インスリン単独
|
RR 1.07[0.91-1.26]
|
低血糖
|
vs Control
|
RR 0.99[0.76-1.29]
|
|
vs 基礎インスリン単独
|
RR 0.67[0.56-0.80]
|
体重変化(kg)
|
vs Control
|
WMD -3.22[-4.90~-1.54]
|
|
vs 基礎インスリン単独
|
WMD -5.66[-9.80~-1.51]
|
有意に血糖コントロール改善や体重減少効果が期待できる.
また低血糖リスクも少ない.