COPDの急性増悪症例の一部に, 肺血栓塞栓症が紛れている可能性がある.
これらの報告からは,
・明らかな誘因のないCOPD急性増悪症例の16%程度.
・診療医の印象として, PEの可能性があると判断された群では10%程度
・可能性がないと判断された群でも3%程度でPEが合併している.
では, COPD急性増悪症例において, PEを積極的に評価する必要があるのだろうか?
スペインにおける多施設(18施設)RCT.
・COPD急性増悪で入院した患者を対象.
・臨床的にPEが疑われる症例(Studyと関係なく, 主治医がPEの検査が必要と判断した症例)や妊婦, CTPAが禁忌, 肺炎や気胸, 下気道感染症, 入院時に侵襲的人工呼吸器管理が必要となる症例は除外
上記患者群を,
積極的PE評価群(D-dimerを評価し, 陽性ならば造影CT)
vs 通常の治療群に割り付け, 比較.
・Primary outcomeは非致死的VTE, 90日間COPD再入院, 死亡
全患者で通常のCOPD急性増悪に対する治療を施行.
O2投与, SABA, SAMAの使用, ステロイド, 抗菌薬, VTE予防
・積極的評価群では, D-dimerを入院12h以内に評価.
陰性ならばPEを除外
陽性ならば(Cutoffは施設の基準)CTPAを行う.
孤発性のSubsegmental PEの症例では下肢静脈圧迫エコーが推奨.
・PEが認められた場合, VTE治療量の抗凝固療法が開始される.
母集団
アウトカム
・PEの頻度は積極的評価群で0.5%, Control群で2.5%と, いままでの報告に比べると低頻度.・複合アウトカム(非致死的VTE, 90日再入院, 死亡)は両者で有意差なし
・VTEは積極的評価群で2例, Control群で9例認められた(有意差なし)
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この報告では, COPD急性増悪において, 臨床的に疑わない場合, PEを積極的に評価する必要は乏しい結果.
これまでの報告と比べて, PEの合併例は少なく, そこも結果に関連している可能性はある.
今後はリスク因子を評価して, どの群においてPEを狙いにいくか, という点がもう少し詰められるとよいのかもしれない.