(JAMA. 2021;326(13):1268-1276. doi:10.1001/jama.2021.14785)
Death rattleは終末期に認められるいびき様の呼吸で, 気道分泌物が上気道に貯留することで生じる現象.
・終末期状態の患者において, 12-92%で認められ, 頻度は高い.
・患者本人は意識がないため, この現象が本人に及ぼす影響は不明だが,
周囲の家族にとっては, 窒息の心配や, 苦痛を伴っているのではないか, という心配が強く, ストレス因子になるという報告がある.
・体位変換などで対応するが, それでも治らない場合はいくつかのガイドラインでは抗コリン薬の使用を推奨している; (NICE guideline, オーストリアのガイドラインなど)
SILENCE: オーストリアにおけるDB-RCT.
・成人のホスピス入所者で, 以下を満たす群を対象:
余命が3日以上.
患者本人が, ホスピスで亡くなることを認識している
研究についての情報が理解できる
・気管切開, 気管チューブ, 抗コリン薬やオクテオチドを使用, 活動性の呼吸器感染症がある患者は除外
・また, 死に瀕した際, 再度呼吸器感染症や抗コリン薬の使用, Death rattleがないことを確認した.
上記患者群を, 死に瀕した状況*となった際に ブチルスポコラミン 20mgを1日4回皮下注射群 vs Placebo群に割り付け, Death rattleや副作用を比較した.
*状況は多職種チームの臨床的判断により, いくつかの状態を考慮し行われた;
寝たきり, 水分を1口しかとれない, 嚥下ができない, 半昏睡状態
アウトカム
・Death rattleは 4時間毎に評価し, 2回連続で認められた場合に出現と定義(2 time points)
・ブチルスポコラミンは有意にDeath rattle頻度を低下させる効果がある
出現までの時間も延長
・副作用は有意差なし
・死亡までの時間もブチルスポコラミンでは 半日程度長い.
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病院で亡くなる場合, 家族がつきっきりというわけではないため, あまり出番はないかもしれない
家族が付き添っている状況, 施設, 在宅看取りではよいかもしれないが, 4時間毎の皮下注射はなかなか難しいことも多い.
持続皮下注射でも同様の結果ならば, 在宅でつかいやすいかもしれない.