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2021年10月23日土曜日

成人Still病とIL-18

 成人Still病の診断はしばしば難しい. 特に悪性リンパ腫(とりわけ血管内リンパ腫やT cell系リンパ腫)との鑑別が難しいことがある.

成人Still病において, IL-18が異常に高値となる報告が多く, これがそれらとの鑑別につかえるのだろうか, 調べてみた.

・ちなみにIL-18はSRLで自費検査だが測定可能. 

 以前調べた時は結果出るまで3週間くらい待った...


AOSDとIL-18

IL-18: AOSDではIL-18が異常高値となる

・IL-18はMφより産生され, IL-12と同様にIFN-γ産生を誘導する


活動性のAOSD 16, RA 21, SS 21, SLE 20, 健常人21例においてIL-18を評価

(International Journal of Inflammation Volume 2012, Article ID 156890)


・AOSDでは数千と異常に上昇し, 活動性に相関する.


・他の自己免疫性疾患でも上昇するが, AOSDでは上昇が著しい.

・他の疾患ではRAでは高値となりやすい


AOSD, RA, SLE患者のIL-18

(Rheumatology 2011;50:776-780)

・同様にAOSDでは数千に上昇. 2桁のこともあるが, 病勢に影響されているか

・RAやSLEでも一部で1000を超えるが, 平均は300程度. 健常人は100台(<200程度)


AOSDとの鑑別で問題になりやすい, リンパ腫ではどうか?

DLBCL症例におけるIL-18

(FutureSci.OA(2019)5(9),FSO414)

・単位は同じpg/mLであるが, 測定方法により差はあるかもしれない.

 IL-18は2桁程度, 高くても200程度と上昇は目立たない.


CTCL患者(cutaneous T cell lymphoma)では,

(Br J Dermatol. 2001 Oct;145(4):674-6. doi: 10.1046/j.1365-2133.2001.04420.x.)

・IL-18値は721±490pg/mL, 範囲 316-1462

・健常人Controlでは173±79pg/mL, 範囲 87-271


ENKTL患者114例におけるIL-18
 (extranodal natural killer/T-cell lymphoma)

(Leuk Lymphoma. 2019 Feb;60(2):317-325)

・病期が進行しているほど高くなり, HLH合併例では特に高値となる

・HLH合併(-)では
高くても<500程度

・IL-18高値は予後不良因子になる


NK/T cell系のリンパ腫ではB cell系リンパ腫よりも高値となりがちであり,

これは腫瘍細胞自体がIL-18の産生に関連している.

(Leuk Lymphoma. 2019 Feb;60(2):317-325.)


NHL症例をIL-18値別に3群に分けて比較

(Acta Haematol 2000;104:220–222)

・G1は>2000pg/mL
, G2は1000-1999pg/mL
, G3は<1000pg/mL

・G1の予後は著しく悪い(3.5M), G2は10.5M


血球貪食症候群 HLHにおけるIL-18

・IL-18はHLHでも異常高値となる


真菌感染症(1), 細菌感染症(4), ウイルス感染症(8)
NHL(3), 転移性腫瘍(1), 原因不明(3)によるHLH患者のIL-18

(Blood. 2005;106:3483-3489)


HLH 9例のIL-18

(British Journal of Haematology, 1999, 106, 182±189)

・家族性が2例, EBVが5例, 不明が3例,
 Anaplastic large cell lymphomaが1例

・IM; 伝染性単核症


HLH, IM(Infectious mononucleosis), 健常人のIL-18

(Leuk Lymphoma. 2001 Jun;42(1-2):21-8. doi: 10.3109/10428190109097673.)


・HLHでもIL-18は数千と異常高値となる. 病勢にも比例する.

・AOSDの動態に類似している

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・AOSDではIL-18は活動期には>1000pg/mLの異常高値となる. 

・鑑別で問題となるリンパ腫ではそこまで上昇する例は少ない. NK/T cell系リンパ腫では上昇する可能性はあるが, それでも1000pg/mLを超えない.

・HLHではAOSD同様, >1000pg/mLの異常高値となる. HLHではその背景疾患や原因は問わない.

 リンパ腫でもHLHを合併すれば異常高値となる.


・これらから,

 HPHを合併してからIL-18を測定してもAOSDの鑑別には使えない

 診断に迷う, 不安な場合は, 初診時に評価しておくことで,

 もしその後, 増悪し, HLHを併発した際にその情報がKeyとなることはありえるかもしれない.

・重症化してから, 焦って評価しても, あまり有用な情報にはならないかも

 (結果でるまで時間かかるし)