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2021年10月12日火曜日

糖尿病性下肢骨髄炎の抗菌薬治療期間: 3wk vs 6wk

 (Clin Infect Dis. 2021 Oct 5;73(7):e1539-e1545. doi: 10.1093/cid/ciaa1758.)

糖尿病性下肢骨髄炎(DFO)の, ガイドラインで推奨された抗菌薬の投与期間は4-6wk


しかしながら, 現実では6wk以上使用していることも多い


糖尿病性下肢骨髄炎(DFO)で外科的デブリを行なう患者群を対象とし, 3wkの抗菌薬投与と6wkの投与群で治癒率を比較した非劣性RCT.

・DFOは臨床所見, 画像, 組織培養により判断

・患者は18歳以上のDM患者で, 下肢骨髄炎があり, 外科的に全ての壊死組織を除去した群を対象

・除外項目: インプラントによるDFO, 96h以内に効果的な抗菌薬を使用されている患者, 感染組織が全て切断で除去されている, 骨皮質を超えて, 骨が完全に破壊されている例, 21日以上の抗菌薬投与が必要な播種性の感染症の合併(IEや人工関節感染症など) 

・治療医は必要とされるデブリや画像検査,
 Neg-pressure vacuum治療や高圧酸素投与は施行可能

 部分的な壊死骨の切断も許可.

・部分的な切断の定義は意図的に緩くし,  一部の足指のDFOを切断しても,
 他の足指のDFOが残っている場合や, 部分的な踵骨の切除などが含まれる.


・治療成功は, 抗菌薬投与2ヶ月後の画像, 臨床所見における
感染の所見の消失で定義

・失敗は同じ部位での再発, 持続, 新規感染, 増悪, 二次切断で定義


母集団データとアウトカム


・起因菌はブ菌が約半数

・部分的な切除はおよそ1/3で施行されている

・高圧酸素両方は1割強


アウトカム

・CRは両者で7-8割達成. 有意差なし

・薬剤による副作用は有意差は認めず


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DM性の骨髄炎で, 壊死組織がしっかりとデブリができれば抗菌薬は3週間と6週間で治癒率が変わらないという結果.

双方とも2-3割で治療失敗があり, どれだけ長く投与しても治りにくいものは治りにくい, という感じか.