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2021年10月20日水曜日

GCA治療後のエコー所見の経過

GCA診断, 特に側頭動脈炎の診断において動脈エコーは有用であるが,

その治療経過でどのように変化するかはあまり分かっていない.

・動脈エコーのHaloが, GC開始後2-4wkで消失するとされるが,
そのまま残存する報告もある.

 表在の側頭動脈よりも, 腋窩動脈のHaloのほうが消失しやすいとの報告も

 残存しているからといって, 治療経過が不良という判断にはならない.

(Rheumatology 2021;60:2528–2536)

 といった記載もある.


動脈エコーにおけるHalo signの経過を評価したCohort;

USにより診断されたGCA症例49例を前向きにフォロー

(Ann Rheum Dis 2021;80:1475–1482.)

・患者はACR 1990, 修正ACR分類基準を満たしたGCA患者で,
 側頭動脈または腋窩動脈にエコーにてHaloが認められた患者群を対象.


 さらに過去15日以上の高用量GC治療(PSL≥30mg/dL)を受けていない患者

・治療開始後に側頭動脈(TA)と腋窩動脈(AX)のエコー所見を経時的にフォロー

 
Haloを認める区域と最大Haloの厚(内膜〜中膜の厚み)を記録


 エコーはwk 1, 3, 6, 12, 以降は3M毎にフォローされた.


・エコーは8箇所の区域で評価: 

 両側の総側頭動脈, 頭頂枝, 前頭枝, 腋窩動脈


 壁肥厚は長軸像で評価し, 最大部位を計測


母集団

・患者の多く(77%)がTAに所見があり, Clanial GCAが95.9%を占める


アウトカム: Haloを認める部位やHalo厚は治療開始後1wkで有意に減少.

しかしながら, 側頭動脈でのみ速やかに反応があり,
 

 腋窩動脈では有意差を認めるのは治療開始後6wkで, 最大のHalo厚の減少が認められる程度.



・TAにおけるHaloの部位や厚の変化はGCAの病勢と相関するが
 腋窩動脈所見は反映しにくい

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このCohortでは, TAのHaloは治療後早期に改善傾向を示し, 12ヶ月程度で横ばいとなる経過だが
腋窩A(AX)のHalo所見はなかなか改善しにくく, 病勢との相関性も低いとの結果.

TAに所見があるならばフォローするのもよいが, AXはあまり頻繁にフォローする必要性は低そうではある.