COPD急性増悪の背景には肺血栓塞栓症が隠れている可能性がある
参考; 原因がよくわからないCOPDの急性増悪は肺血栓塞栓症かも
そこに, あたらしく実臨床に即したCohortが発表された.
(JAMA. 2021;325(1):59-68. doi:10.1001/jama.2020.23567)
フランスの7施設における前向きCohort.
・2014-2017年にCOPD急性増悪で入院加療となった成人患者において, PE合併を評価した報告.
・除外項目: 造影禁忌, CCr <30mL/min/1.73m2, 妊婦, 48h以内の入院歴, VTE以外の目的のために抗凝固療法を行なっている患者, 気胸, 重度のCOPD増悪で画像検査が困難な患者.
・PE合併は, Genevaスコア, D-dimerでスクリーニング.
rGeneva≥11ならば造影CTと下肢静脈圧迫エコーへ
rGeneva<11ならばD-dimerを評価し, <500ng/mLならば除外.
≥500ng/mLでは造影CTと下肢静脈エコーを施行
・全患者は3ヶ月間フォローされ, 症状出現時はVTEの再評価が行われた
対象患者は740例
COPD急性増悪患者の5.9%に肺血栓塞栓症を認めた.
・DVTを含めると7.3%
・救急受診時の医師の判断としてPEの可能性が高いと判断された群では10%, 疑わないと判断された症例でも3.2%でPEあり.
・他の診断が考えやすいと判断された症例でも3.9%でPEであった.
Genevaスコア、D-dimerで陰性であった212例も, 3ヶ月のフォローにおいて2例のPEが診断(1%)
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・COPD急性増悪の背景にはPEが隠れているかもしれない.
・臨床医の印象として否定的と考えても, 3%. 疑いが強い例では10%で背景にPEがある.
他の診断が強く疑われていても, 頭の片隅には置いておき, その目で評価することが大事.
入院後の管理中も注意ですね