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2017年1月4日水曜日

透析シャント開存維持目的の抗血小板薬

維持透析で造設する動静脈シャント.
このシャントの開存を維持するために抗血小板薬が用いられることがある.

これにはどのようなエビデンスがあるのか?

抗血小板薬による維持透析に使用するAVシャント, グラフトの開存性を評価した15 RCTsのMeta.
(Eur J Vasc Endovasc Surg (2016) 52, 243e252 )(Cochrane Database of Systematic Reviews 2015, Issue 7. Art. No.: CD002786.)
・全体的なエビデンスレベルは低い.

Ticolopidine vs Placeboを比較したRCTは3つ
・Nは少ないものの, Ticolopidineで有意に開存性維持効果が見込める

Aspirin vs Placeboを比較したRCTは3つ. 小規模Studyのみ.
・開存性維持効果は有意差を認めない.

Clopidgrel vs Placeboを比較したRCTは2つ.
・JAMA 2008年のStudyが最も大規模であり, それは有意差を認める.
・全体では有意差なし.

PRT-201: human type-I pancreatic elastaseは有意差を認めない結果

他にFish oilも試されているが, 2つのRCTで有意差を認めない結果
OR 0.24[0.03-1.95]


最もNの大きいClopidogrelを評価したJAMA 2008のStudy
ESRDでシャント造設を行なった877例を対象としたDB-RCT
(JAMA. 2008;299(18):2164-2171 )
・除外項目は12wk以内の輸血を必要とする出血イベント, PLT<7.5万, 凝固生涯, 急性潰瘍性疾患, sBP>200, dBP>115, 進行性肝障害, 他の理由で抗血小板薬, 抗凝固の継続使用が必要, 薬物依存, 妊婦
・上記患者をClopidogrel群 vs Placebo群に割付け, 増設後1日以内開始し, 6wk継続する.
・Clopidogrelは初回300mg, 以後75mg/d
・フォローアップは増設後150-180日, もしくは透析開始後30日(どちらか遅い方で設定する)継続.
・アウトカムは6wk以内のシャント内血栓. 

母集団

アウトカム

・6週間の血栓症リスクはClopidogrel群で有意に低下する.
・部位別では前腕のシャントで有意に低下.
・Suitability failure*は有意差なし
 *Suitabilityは8-12回の透析において, 脱血速度が300mL/min以上で可能なことで定義される
・副作用も有意差は認めない

短期的な血栓リスクは軽減し得る可能性がある.

さらに, 最近(2017年1月頃)発表されたFAVOURED trial
FAVOURED trial: 維持透析目的でシャントを造設した567例を対象としたDB-RCT
(Effect of Fish Oil Supplementation and Aspirin Use on Arteriovenous Fistula Failure in Patients Requiring Hemodialysis A Randomized Clinical Trial. JAMA Intern Med)
・患者は19歳以上で, Stage 4-5のCKD, 12ヶ月以内に透析導入になると予測された患者群を対象
・出血リスクがある患者(出血性疾患, 出血性潰瘍, PLT<10万, 肝不全), 2wk以内のアスピリン使用, 4wk以内のFish oil使用歴, NSAID常用, 抗凝固, 抗血小板薬使用している患者は除外.
 (開始3年後の2011年よりアスピリン使用患者は許可されている: Fish oil vs Placeboに割付け, 比較するため.)

上記患者群を, 
 Fish oil(4g/d) vs Placebo群, 
 Aspirin 100mg vs Placebo群に割付け, 12ヶ月フォローした.

母集団

アウトカム
・シャント不全はFish oil, aspirin, Placebo群で有意差なし.
・シャント不全はAbondonment(破棄), 血栓, 穿刺不全全てで有意なし

副作用も両者で有意差なし.

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・シャント開存性維持目的の抗血小板薬については小規模Studyが主.
・その上でのMetaにおいて, 有意に開存性維持効果があるのはチクロピジンのみ.
・Clopidogrelは比較的規模の大きいStudyで有意差を認めているが, 短期予後のみ評価されているのが現状.
・アスピリンについてはMetaでも有意差がなく, FAVOUREDでも有意差が認められない結果であり, 開存維持効果は期待できないと考えるべきか. Fish oilも同様

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