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2017年1月25日水曜日

ANCA関連血管炎による中耳炎

(Mod Rheumatol, 2017; 27(1):87–94)
AAVでは中耳炎の合併も認められる.
・AAVに合併する中耳炎をOMAAV(otitis media with AAV)と呼ぶ.

OMAAVは以下の(A)-(C)を満たす場合に診断
(A) 抗生剤投与や耳管挿入でも改善しない浸出液, 肉芽組織を伴う難治性中耳炎で発症する
(B) 以下の1つ以上を認める
 (1) MPO-, PR3-ANCA陽性
 (2) 組織的にAAVを考慮する(小血管の壊死性血管炎±血管外の肉芽組織を伴う炎症像)
 (3) AAVに関連する耳以外の臓器障害を伴う
(C) 他の中耳炎疾患が除外(細菌性, コレステロール肉芽腫, Choleastoma, 悪性腫瘍, 結核, 好酸球性, 他の血管炎)

診断基準(案) (耳鼻臨床 2014; 107: 587598)

OMAAVの耳病変は3パターンある
・慢性中耳炎(COM)
・滲出性中耳炎(SOM)
・感音性難聴(SNHL)
・PR3-ANCA陽性例では慢性中耳炎と滲出性中耳炎が多い.
・MPO-ANCA陽性例では滲出性中耳炎となることが主
・鼻症状を伴うのはPR3-ANCAで多いがMPO-ANCA陽性でも副鼻腔炎は多い

日本国内の耳鼻科123施設において, 10年間で報告されたOMAAV 235例の解析.
・抗体はMPO-ANCA陽性例が6割
・初期症状としては難聴が必発. 他にはめまいや頭痛もある.
・他の臓器障害では, 顔面神経麻痺, 肥厚性硬髄膜炎, 鼻, 肺, 腎臓など

陽性となる抗体別の評価
・MPO-ANCA陽性例は高齢発症で多い
・PR3-ANCA陽性例では鼻や肺障害の合併が多い
・抗体陰性例では肥厚性硬髄膜炎を伴う頻度が高い.

OMAAVの全体像のイメージ

(Allergology International. 2014;63:523-532 )