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2017年1月21日土曜日

心筋症の原因となる膠原病は?

心筋症の約半数が特発性であり, 他には心筋炎, ウイルス感染症, 虚血性心疾患, 浸潤性疾患(サルコイドなど), 薬剤(ドキソルビシン), 内分泌疾患(甲状腺), 沈着症(ヘモクロマトーシスやアミロイドーシス), 栄養障害(チアミン)など、、、様々な原因がある.

その二次性の1つに膠原病が挙げられるが, どのような膠原病が原因となるのか?

その前に, そもそも特発性心筋症の中にAnti-heart antibodies(AHA)と呼ばれる自己抗体の存在がわかっており,
特発性拡張型心筋症では, β1 adrenoceptor, α, β-myosin heavy chain, myosin light chain, Troponinに対する自己抗体陽性例が30%で報告されている. またその場合血縁者の20-30%でも陽性となり, 家族性発症の原因としても指摘されている.
(Lancet 2010;375:752-62)

今回は ”自己免疫性” ではなく膠原病に合併する心筋症では, どのような疾患が原疾患として多いか, を調べて見る.

あまり報告は多くなく, 見つかったのは以下の報告のみ.

(Am J Cardiol 2007;100:513–517)
Johns Hopkins Hospitalにおいて, 1983-2003年に原因不明の心筋症で筋生検を施行した 1700例のうち, 71例(4.2%)が膠原病に伴うものと判断された(5.1年のフォローにおいて)
・最も多いのはUCTD, SLE, SS.
 ついでPN, PM/DMなど.

SLE, UCTD, SSによる心筋症と特発性DCMの比較
・発症年齢は膠原病性と特発性でほぼ同じくらい
・膠原病性ではやはり女性が多い. ただしUCTDは除く.
・SLEでは心筋炎を伴う例が1/3と他よりも多い.

予後への影響
・SSによる心筋症では特発性と比較して死亡リスクが高い(HR 2.06[1.15-3.70])が, UCTD, SLEによるものは有意差なし.
 (SLE 0.63[0.26-1.53]), (UCTD 1.79[0.97-3.30])