以前はPneumocystis cariniiと呼ばれていたので, 未だカリニ肺炎(PCP)と呼ばれることが多い.
主にはHIV患者や, 長期間のステロイド, 免疫抑制剤, リツキシマブなどの使用がリスクとなり, このような群ではカリニ肺炎の予防投与が推奨される.
カリニ肺炎の予防投与の適応
・HIV患者ではCD4+ T細胞 <200/µLで推奨される
ただし, 適切な予防をされても20%で発症するといわれている.
特にCD4+ T細胞 <50/µLでは高リスクとなる
HIV患者における予防投与適応のまとめ
10台, 成人例のHIV
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CD4+ T cell数 <200µL
2wk以上持続する原因不明の発熱 口咽頭カンジダ症の既往 Viral titerの急激な上昇 CD4+ T cell数の急激な低下 |
<11moの小児HIV症例
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CD4+ T cell数<1500/µL
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1-5yの小児HIV症例
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CD4+ T cell数<1000/µL
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>5yの小児HIV症例
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CD4+ T cell数<500/µL
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全小児例
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CD4+ T cell数が24%以下
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・非HIV患者における予防投与の適応は明確なルールはない.
化学療法や放射線療法で免疫抑制となる患者や,
PSL 20mg/dを4wk, 報告によっては3-6mo以上継続する患者,
臓器移植後6mo以内,
好中球減少症患者が高リスク群となり, 予防を考慮する.
(Arch Pathol Lab Med. 2004;128:1023–1027)(ANTIMICROBIAL AGENTS AND CHEMOTHERAPY 1998;42:995–1004)
厚生労働省免疫疾患の合併症と治療法に関する研究班によるPCP一次予防投与基準(2004)
以下の場合に予防的投与を考慮すべきとされる
・年齢50歳以上でかつ以下のいずれかを満たす
① PSL換算 1.2mg/kg/日以上
② PSL換算 0.8mg/kg/日以上と免疫抑制剤併用
③ 免疫抑制剤使用中末梢血Ly ≤500/µL
しかしながら, 上記基準の感度は低く(75%程度) 十分とは言えない.
(Nihon Rinsho Meneki Gakkai Kaishi. 2009 Aug;32(4):256-62.)
HIV陰性例のカリニ肺炎では, どのような疾患背景が多いのか?
HIV陰性のカリニ肺炎 154例の解析
背景疾患
もっとも多いのは血液悪性腫瘍で, NHL, CLL, 急性白血病, 骨髄移植, 多発性骨髄腫など
ついで固型腫瘍, 炎症性疾患(血管炎も含むと2番目に多い原因), 臓器移植後
各疾患の頻度を考慮した疾患毎のカリニ肺炎のリスク
特に多いのがPN, GCAで, そのあとに血液悪性腫瘍で多い.
疾患毎のリスク(OR)
(The American Journal of Medicine (2014) 127,1242.e11-1242.e17 )
HIV陰性のカリニ肺炎 116例の解析
(Mayo Clin Proc 1996;71:5-13)
血液悪性疾患に合併するカリニ肺炎の解析
60例のHIV陰性, 血液悪性腫瘍に合併したPCP症例の解析
非ホジキンリンパ腫が18例(30%),
慢性リンパ急性白血病が13例(21.7%)
急性白血病 10例(16.6%)
多発性骨髄腫 5例(8.3%)
Waldenstrom病 4例(6.6%)
慢性骨髄性白血病 4例(6.6%)
骨髄異形成症候群 3例(5%)
ホジキン病 2例(3.3%)
血小板減少 1例