HHT(Rendu-Osler-Weber病)は常染色体優性遺伝形式の先天性疾患
・1-2/10000の頻度, 発症率は1-2/10万人年程度
浸透率は97%と高い
・線維血管の異形成を生じ, 皮膚や粘膜, 肺, 脳, 肝臓, 消化管の毛細血管拡張と出血が特徴的
毛細血管前後の細静脈の拡張を呈し, AVシャントとなる
鼻出血が初期症状として多い.
・1-2/10000の頻度, 発症率は1-2/10万人年程度
浸透率は97%と高い
・線維血管の異形成を生じ, 皮膚や粘膜, 肺, 脳, 肝臓, 消化管の毛細血管拡張と出血が特徴的
毛細血管前後の細静脈の拡張を呈し, AVシャントとなる
鼻出血が初期症状として多い.
(Rev Bras Otorrinolaringol 2008;73:452-457)(Journal of Hepatology 46 (2007) 499–507)
遺伝子異常により分類され,
・Type 1 HHTは9番染色体にあるendoglinをコードする遺伝子異常(9q33-q34)
・Type 2 HHTは12番染色体にあるALK-1, ACVRL1をコードする遺伝子 (12q13)
SMAD4の異常も報告されている(5,6番染色体)
TGF: transforming growth factor, ALK, ACVRL: action receptor-like kinase
SMAD4の異常も報告されている(5,6番染色体)
TGF: transforming growth factor, ALK, ACVRL: action receptor-like kinase
(Journal of Hepatology 46 (2007) 499–507)
病変の進行
(Haemophilia (2008), 14, 1269–1280)
・左上: 正常患者の毛細血管
・左上: 正常患者の毛細血管
・左下: 早期のHHT. 毛細血管ではなく, 小静脈が拡張する
・右上: 晩期のHHT. 小静脈が拡張し, 小動脈と繋がりシャントを生じる
HHTの診断クライテリア
HHTの診断クライテリア
(World J Clin Cases 2015 April 16; 3(4): 330-337 )
・常染色体優性遺伝であり, 浸透率は97%と高いが, HHTの20%が家族歴陰性となる.
・鼻出血は早期より出現する(≤21歳)
10歳までに50%, 21歳までに80-90%であり.
10%程度は鼻出血の病歴なし.
軽度~再発性, 止血困難例まで様々.
・鼻出血は早期より出現する(≤21歳)
10歳までに50%, 21歳までに80-90%であり.
10%程度は鼻出血の病歴なし.
軽度~再発性, 止血困難例まで様々.
(Genet Med 2011:13(7):607– 616.)(Rev Bras Otorrinolaringol 2008;73:452-457)(Journal of Hepatology 46 (2007) 499–507)
・皮膚病変: 2mm程度の血管拡張が顔面, 口唇, 鼻, 舌, 耳, 手, 上半身, 下肢に認められる.
頻度は75-90%と多い.
鼻出血よりも晩期で多く, 30歳台より増加する.
これら病変は出血するが, 重度の出血にはならない.
頻度は75-90%と多い.
鼻出血よりも晩期で多く, 30歳台より増加する.
これら病変は出血するが, 重度の出血にはならない.
(Rev Bras Otorrinolaringol 2008;73:452-457)(Journal of Blood Medicine 2014:5 191–206)
(Genet Med 2011:13(7):607– 616.)
・肺病変: 壁の薄い血管瘤を介して, 肺動脈と静脈が交通する.
両側に多発し, 特に下肺で多い.
肺動静脈奇形のうち60%はHHTによるものと推測される
HHTのうち肺病変を生じるのは40-60%
右左シャントを生じ, 症状は30-40歳台より増加
症状は呼吸苦, 倦怠感, チアノーゼ, 多血症など
・肺病変: 壁の薄い血管瘤を介して, 肺動脈と静脈が交通する.
両側に多発し, 特に下肺で多い.
肺動静脈奇形のうち60%はHHTによるものと推測される
HHTのうち肺病変を生じるのは40-60%
右左シャントを生じ, 症状は30-40歳台より増加
症状は呼吸苦, 倦怠感, チアノーゼ, 多血症など
(Rev Bras Otorrinolaringol 2008;73:452-457)(Journal of Blood Medicine 2014:5 191–206)
・中枢神経症状:脳病変は28%, 脊髄病変は8%, 門脈-静脈シャントによる脳症は3%で合併.
症状は頭痛や回転性めまい, 失神, 視覚/聴覚障害
神経局所症状, 片麻痺, 痙攣など様々.
肺内の右左シャントにより脳膿瘍のリスクも上昇する
・中枢神経症状:脳病変は28%, 脊髄病変は8%, 門脈-静脈シャントによる脳症は3%で合併.
症状は頭痛や回転性めまい, 失神, 視覚/聴覚障害
神経局所症状, 片麻痺, 痙攣など様々.
肺内の右左シャントにより脳膿瘍のリスクも上昇する
(Rev Bras Otorrinolaringol 2008;73:452-457)
(Genet Med 2011:13(7):607– 616.)
・消化管症状: 10%で再発性の消化管出血を呈する
消化管に毛細血管拡張を認めるのは75%.
50-60歳台が好発年齢.
粘膜における毛細血管拡張が出血原因となる
出血部位は胃や十二指腸が半数を占める
・消化管症状: 10%で再発性の消化管出血を呈する
消化管に毛細血管拡張を認めるのは75%.
50-60歳台が好発年齢.
粘膜における毛細血管拡張が出血原因となる
出血部位は胃や十二指腸が半数を占める
(Rev Bras Otorrinolaringol 2008;73:452-457)(Journal of Blood Medicine 2014:5 191–206)
・肝障害: HHTの肝病変では, 肝臓全体の血管奇形を呈する.
HHTの41-78%で肝病変を合併するが, 大半が無症候性.
症候性は8%程度のみ.
症候性は8%程度のみ.
肝動脈-肝静脈シャント, 肝動脈-門脈シャント, 門脈-肝静脈シャントの3パターン.
上記3つのシャントは同時に生じ得るが, どれか一つが顕著となることが多い.
また, 顕著となるシャントは時期により変化する.
上記3つのシャントは同時に生じ得るが, どれか一つが顕著となることが多い.
また, 顕著となるシャントは時期により変化する.
(Aliment Pharmacol Ther 28, 523–533)(Journal of Hepatology 46 (2007) 499–507)
(Journal of Hepatology 46 (2007) 499–507)
HHTで肝病変を認めた89例の解析では, 高拍出性心不全, 門脈圧亢進症, 胆管/胆汁障害を呈する症例が主.
(Journal of Hepatology 46 (2007) 499–507)
胆管障害は最も若年であり, 心不全や門脈圧亢進症は高齢者で出現する.
HHTにおける肝障害の画像所見のまとめ
ドップラーエコー, ダイナミックCTが検査に有用.
最も正確な検査は血管造影となる.
(Aliment Pharmacol Ther 28, 523–533)
HHTの治療
鼻出血は貧血の原因となる場合, 頻回の出血でQOLを低下させる場合は治療を行う.
・高拍出性心不全を合併すると鼻出血も増悪する.
・鼻腔内の加湿, ガーゼによる圧迫, レーザーアブレーションなど
重度の場合はSeptal dermoplastyなど.
消化管出血も貧血の原因となる場合は対応する
・毛細血管拡張の評価と焼灼術を行う.
内視鏡治療が困難な場合は外科的切除を考慮
肺動静脈奇形の対応
・呼吸苦や低酸素, 倦怠感がある場合は治療適応だが, 無症候性でも脳膿瘍や脳梗塞予防, 肺出血予防として治療は推奨
・Feeding arteryが1-3mm以上の太さならばカテーテル塞栓術
カテーテル治療が困難ならば外科的切除術
塞栓術後も再度栄養血管が形成される可能性があるため, 6-12ヶ月でフォローアップのCT評価は必要. 問題なければ5年毎にフォローする(新規病変評価)
CNS病変では外科切除や栄養血管の塞栓術など選択される
肝臓病変の治療: 高拍出性心不全や肝内シャント, 肝硬変に対する治療は重要
・ただし, 塞栓術は肝梗塞のリスクとなるため避ける.
また, HHTでは肝生検も極力避けるべき.
・積極的な薬剤治療が推奨される.
薬剤治療で対応困難な場合は肝移植を考慮する.
薬剤治療
・薬剤治療では, RaloxifeneはENGやACVRL1遺伝子の発現を増加させる作用がある
・抗血管新生作用があるBevacizumab(アバスチン®), thalidomide
抗線溶作用があるトラネキサム酸が治療として試される.
・Bevacizumab 5mg/kg 14日毎に6回投与したところ,
5/23で完全に心不全は改善し, 15/23で部分的に改善を認めた.
・抗血小板薬は出血リスク増大するため, 避けるべきとされる
・高拍出性心不全を合併すると鼻出血も増悪する.
・鼻腔内の加湿, ガーゼによる圧迫, レーザーアブレーションなど
重度の場合はSeptal dermoplastyなど.
消化管出血も貧血の原因となる場合は対応する
・毛細血管拡張の評価と焼灼術を行う.
内視鏡治療が困難な場合は外科的切除を考慮
肺動静脈奇形の対応
・呼吸苦や低酸素, 倦怠感がある場合は治療適応だが, 無症候性でも脳膿瘍や脳梗塞予防, 肺出血予防として治療は推奨
・Feeding arteryが1-3mm以上の太さならばカテーテル塞栓術
カテーテル治療が困難ならば外科的切除術
塞栓術後も再度栄養血管が形成される可能性があるため, 6-12ヶ月でフォローアップのCT評価は必要. 問題なければ5年毎にフォローする(新規病変評価)
CNS病変では外科切除や栄養血管の塞栓術など選択される
肝臓病変の治療: 高拍出性心不全や肝内シャント, 肝硬変に対する治療は重要
・ただし, 塞栓術は肝梗塞のリスクとなるため避ける.
また, HHTでは肝生検も極力避けるべき.
・積極的な薬剤治療が推奨される.
薬剤治療で対応困難な場合は肝移植を考慮する.
薬剤治療
・薬剤治療では, RaloxifeneはENGやACVRL1遺伝子の発現を増加させる作用がある
・抗血管新生作用があるBevacizumab(アバスチン®), thalidomide
抗線溶作用があるトラネキサム酸が治療として試される.
・Bevacizumab 5mg/kg 14日毎に6回投与したところ,
5/23で完全に心不全は改善し, 15/23で部分的に改善を認めた.
・抗血小板薬は出血リスク増大するため, 避けるべきとされる
(Journal of Blood Medicine 2014:5 191–206)(Genet Med 2011:13(7):607– 616.)