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2015年9月16日水曜日

腰椎椎間板ヘルニアに対するSLR試験、Flip試験、Slump試験

SLR試験
腰椎椎間板ヘルニアの診察で有名なのはSLR(straight leg raising)試験
これは仰臥位で膝関節を進展した状態で, 検者が受動的に股関節を屈曲させる。
 検者が抵抗を感じるか、疼痛が再現されるまで行い, そのROMを0−90度で評価する。
 疼痛が再現されれば、その状態から足関節を背屈させ, 疼痛の増強があるかも評価。
 疼痛が再現されれば陽性と判断、またはそのROMで表す。

・コクランにおけるSLRの感度は92%[87-95], 特異度 28%[18-40]と感度は良好だが特異度は低い(Cochrane Database Syst Rev. 2010 Feb 17;(2):CD007431. doi: 10.1002/14651858.CD007431.pub2.)
・Crossed SLRという, 健側の挙上にて患側で坐骨神経痛が増強する所見は、感度28%[22-35]と低いが、特異度は90%[85-94]と高い(Cochrane Database Syst Rev. 2010 Feb 17;(2):CD007431. doi: 10.1002/14651858.CD007431.pub2.)

座位で評価する方法として、Flip試験とSlump試験というものがある。

Flip試験 (Spine 2009;34:1585-1589)
・端座位において膝関節を進展させると, 体幹が後ろに倒れる、もしくは手を後ろについて刺させる所見が得られれば陽性と判断する。

画像検査において, 腰椎ヘルニア所見(+), 神経根圧迫所見(+)の67例でFlip testを試行したところ,
・膝関節の伸展で疼痛(-)が33%
 疼痛あり, 完全に伸展可能が39%
 疼痛あり, 伸展も不完全が28%
・Flip test陽性は1/3のみであった.
・Flip testによる疼痛誘発の有無, 膝関節進展の程度はSLR試験における下肢挙上角度に相関する。
Flip試験の感度は30%程度であるが, 疼痛誘発とすれば感度は70%程度までは上昇する。
かといってSLRに取って代わるものでもない。

Slump試験

端座位で頸部を屈曲した肢位で, 手は背部に置きその姿勢を維持する.
 受動的に膝関節を進展させ, 抵抗を感じるか, 疼痛が再現される角度を評価
 そのまま足を背屈させ, 疼痛が増強するかを評価 (膝関節90屈曲位を0度として評価する)
(J Manipulative Physiol Ther 2009;32:184-192) 

MRIにてヘルニア所見(+)の38例, Control 37例においてSLRとSlump testを試行.
・Slump testは感度 84%, 特異度 83%で腰椎椎間板ヘルニアを診断
・一方でSLR testは感度 52%, 特異度 89%と感度はSlump testの方が良好な結果
(J Clin Rheumatol 2008;14: 87–91) 

腰部, 下肢痛でMRIを評価した34例でSLRとSlump testを施行
・腰椎椎間板ヘルニアに対するSLRの感度 87.5%[69-95.7], 特異度 42.9%[15.8-75.0]
・Slump testは感度 80.0%[60.9-91], 特異度 71.4%[35.9-81.8]
この評価ではSLRの方が感度は良好であるが, 特異度はSlump testが良好な結果
(Cent Afr J Med. 2012 Jan-Apr;58(1-4):5-11.)

腰背部痛で受診した45例でSLRとSlump testを施行
・陽性所見は角度によらず, 疼痛が再現されれば陽性と判断する.
・SLR陽性例が23/45, Slump test陽性例が22/45, 双方陽性例が19例であり, 両者の一致率(κ)は0.69[0.43-0.84]
(J Manipulative Physiol Ther 2009;32:184-192) 

座位で簡便にできる検査として、Flip試験やSlump試験は日常外来で重宝する。
SLR試験で拾えない腰椎椎間板ヘルニアもSlump試験では拾い上げられる可能性もある。
かといって過信すると見落とすので注意。

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