異なるのはESTと胆嚢摘出術が必要となる点。
胆嚢摘出術施行後も1−2%の再発率があるが、胆嚢摘出を施行しない場合、3ヶ月で~2/3で再発を認める報告もある。さらにその際はより重症となるため、原則胆嚢摘出を勧める。
(Surg Clin N Am 94 (2014) 257–280 )
胆嚢摘出のタイミングとしては、
6週間以内に施行できれば、その後2年間の胆石に伴う合併症、症状は2%まで低下する(非施行群では47%)報告がある(Ann Surg 2006;243:154-68)
今週のLancetよりPONCHO trialが発表
(Lancet 2015; 386: 1261–68 )
軽症の胆石性膵炎患者 266例を対象としたRCT.
・患者群は定義は臓器不全(-), 膵壊死(-), 膵周囲体液貯留(-), CRP≤10mg/dL, オピオイド必要なし, 経口摂取可能
・75歳以上や慢性膵炎合併例, アルコール多飲例は除外
上記患者群を3日以内の胆嚢摘出術施行群 vs. 一旦退院し, 25−30日後に胆嚢摘出術施行群に割つけ, 胆石由来の合併症発症率を比較.
・ESTを施行したのは早期施行群で27%, 退院後施行群で31%.
アウトカム:
・胆石による合併症での死亡/再入院は5% vs 17%, RR 0.28[0.12-0.66]と有意に早期胆摘施行群で少ない結果.
・胆石疝痛は3% vs 51%, RR 0.06[0.02-0.19]と待機的施行群ではかなり多い
・開腹手術への移行率は4% vs 3%と変わらない
EST施行群で比較しても
primary outcomeは17% vs 3%, p=0.07と有意差はないが, 数値的には変わらない結果.
primary outcomeは17% vs 3%, p=0.07と有意差はないが, 数値的には変わらない結果.
2013年のコクランより
胆石性膵炎患者における腹腔鏡下胆嚢摘出術を
入院後48時間以内の早期群と症状, Labが改善後に施行する晩期群で比較したMeta
入院後48時間以内の早期群と症状, Labが改善後に施行する晩期群で比較したMeta
・死亡リスクは有意差なし
・重大な合併症リスクも有意差なし RR 0.33[0.01-7.81]
・開腹手術移行率も有意差なし
・重大な合併症リスクも有意差なし RR 0.33[0.01-7.81]
・開腹手術移行率も有意差なし
・入院期間は早期群で短縮される WD -2.3[-4.4~-0.2]
(Cochrane Database of Systematic Reviews 2013, Issue 9. Art. No.: CD010326.)
ということで、可能ならばなるべく早めに胆摘を行うことを勧めたほうが良い。
可能ならば、というのは、腹腔鏡下摘出ができる程度の炎症で、膵壊死や体液貯留がない場合、全身状態が良好ということを意味する。
膵壊死や体液貯留がある重症例ではそれら所見が落ち着いてから行うのには変わりはないであろう。