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2015年9月13日日曜日

自己炎症性骨疾患: CNO, CRMO, DSOMについて

Chronic non-bacterial osteomyelitis(CNO)
Chronic recurrent multifocal osteomyelitis(CRMO)
Diffuse sclerosing osteomyelitis of mandible(DSOM) について

主な参考文献(Review)
(Curr Opin Rheumatol. 2013 Sep;25(5):658-64.)(Curr Opin Otolaryngol Head Neck Surg 2014, 22:332 – 335)(Curr Opin Rheumatol. 2013 Sep;25(5):658-64.)(Rheum Dis Clin North Am. 2013 Nov;39(4):735-49.)

これらは慢性経過に寛解、増悪する非化膿性、非腫瘍性、非代謝/内分泌性の骨炎を呈する疾患。
・CNOと呼ばれ、再発と寛解を繰り返すものをCRMOと呼ぶ。
 また、下顎骨に単独で発症するものもあり、その場合DSOMと呼ばれるが、どれも同一の病態の可能性が高い。
・自己免疫疾患よりは、自己炎症による機序である可能性が高く、自己炎症性骨疾患に括られる。
 SAPHO症候群の1亜型。診断基準に含まれている。
 SAPHO症候群の10%近くに下顎病変を伴う(Oral Surg Oral Med Oral Pathol Oral Radiol Endod 2011;111:190-195)。
(参考: ACR 2003のSAPHO症候群の分類より)
(Int. J. Oral Maxillofac. Surg. 2010; 39: 1160–1167)
・自己炎症性骨疾患は、CNO、CRMO以外にMajeed症候群(CRMO+赤血球異型性貧血+Sweet症候群)、IL−1受容体antagonist欠損症、ケルビズム症など含まれる。
(Clin Immunol. 2013 Jun;147(3):185-96.)

 各疾患の臨床的特徴
(Rheum Dis Clin North Am. 2013 Nov;39(4):735-49.)

CNO/CRMOの臨床症状, 所見 ・好発年齢は10歳[8-12]と小児に多い.
・男女比は 1:2で女性で多い傾向がある.
・多発骨炎による骨痛, ROM制限が最も多い症状.
 経過は亜急性の急性増悪~寛解を繰り返す.
 脊椎圧迫骨折の原因となることもある.
・発熱や体重減少, 消耗症状は認めることがあるが多くはない.
・掌蹠膿疱症は20%, 炎症性腸疾患は7%, 乾癬は4%程度で合併
 脊椎関節炎と類似しており、実際脊椎関節炎の診断基準を満たすものが60%ある(Pediatric Rheumatology 2013, 11:47)。
・血液検査も非特異的な変化.
 ESRやCRPは上昇しても軽度のみであり, WBCの上昇は稀.
(RadioGraphics 2009; 29:1159–1177)(Rheumatology 2007;46:154–160)

骨病変の分布
 骨病変は全身、様々な部位に生じる
 特に多い部位が椎体、長管骨。
 下顎骨病変の頻度は報告により様々で4−21%程度。
左: 小児のCNO 89例の分布 (Rheumatology 2007;46:154–160)
右: 小児のCNO 70例の分布 (Pediatrics 2012;130:e1190–e1197)

CRMOの画像所見
・レントゲン, CT検査では骨融解像と硬化像が認められる
・最も感度が良好なのはMRIと骨シンチ.(感度 94-100%)
 全身MRIや骨シンチは無症候性病変の検出にも有用.
(Nuclear Medicine Communications 2014, 35:797–807)

骨病変の組織所見は非特異的炎症性変化
・急性期では多核球±破骨細胞, 多核巨細胞の浸潤が主
・慢性期ではリンパ球, 形質細胞, 組織球の浸潤を認め、一部で肉芽腫形成や骨芽細胞の活性化, 線維化が認められる.
(RadioGraphics 2009; 29:1159–1177)

CNO, CRMOを合併する病態
 皮膚疾患:掌蹠膿疱症, 乾癬, 劇症型ざ瘡, Sweet症候群, 壊疽性膿皮症
 自己免疫性疾患:高安病, GPA
 消化管疾患:クローン病, 潰瘍性大腸炎
 遺伝性疾患:Majeed症候群(赤血球異型性貧血とSweet症候群の合併)
 その他:SAPHO症候群, 脊椎関節炎(CNO/CRMOの60%が脊椎関節炎の基準を満たす)


CNO, CRMOと鑑別が必要な疾患
・感染性骨髄炎
・組織球症
・低リン血症
・悪性腫瘍: 白血病, リンパ腫, Ewing肉腫

経過/画像上CNO/CRMOを疑う所見のポイント
・慢性経過, 再発性の骨髄炎で寛解期は特に症状もなく状態は良い
・鎖骨や左右対称性, 多発性のような感染症では稀な部位で多い
・骨融解像と硬化像が混在する
・膿瘍形成, 瘻孔形成, 腐骨を認めない
・抗生剤への反応性が乏しい
・他の炎症性疾患の合併がある

CNOを評価するスコア
CNO 102例, 化膿性骨髄炎 22例, 悪性骨腫瘍 48例, 良性骨腫瘍 52例において, CNOを予測する因子を評価(Retrospective) (ARTHRITIS & RHEUMATISM Vol. 60, No. 4, April 2009, pp 1152–1159)

OR
点数
血算正常
82
13
左右対称性の病変
30
10
辺縁が硬化性の病変
27
10
発熱なし
20
9
椎体, 鎖骨, 胸骨病変
14
8
画像にて病変が2箇所以上
11
7
CRP≥1.0mg/dL
7
6
合計

63
・スコア >29は感度97%, 特異度 80%でCNOを示唆する
 スコア <29 → CNOは除外
 29-38 → 判断保留
 ≥39 → CNOと診断

CNO, CRMOの治療(成人例)
 第一選択: NSAID
 第二選択: ビスフォスフォネート
 第三選択: DMARD (MTX, サルファサラジン)
 第四選択: 抗TNF-α阻害薬
 レスキュー: ステロイド
(Rheum Dis Clin North Am. 2013 Nov;39(4):735-49.)

小児例における治療と反応率(小児でありビスフォスフォネートのデータはない)
(Pediatrics 2012;130:e1190–e1197)

DSOM, CRMOに対してビスフォスフォネートを使用した症例報告はあり、どれも良好な効果が期待できる。
使用する場合は保険適用外であるが、ゾレドロネートやアレンドロネートのような経静脈投与で行う。経口投与でも効果が認められる報告もある。
(Int. J. Oral Maxillofac. Surg. 2005; 34: 576–578)(Journal of Cranio-Maxillo-Facial Surgery 39 (2011) 65-68)(Oral Surg Oral Med Oral Pathol Oral Radiol 2012;114:e9-e12)


また、下顎病変に対する外科的治療も効果的である症例報告もあり、単一病変の場合は外科的治療も選択肢の1つとなりえる
(Oral Surg Oral Med Oral Pathol Oral Radiol Endod 2011;111:190-195)(Oral Surg Oral Med Oral Pathol Oral Radiol 2013;116:692-697) 

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