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2014年7月18日金曜日

Trapped Lung

Trapped Lung
Chest 2007;131:206-213
肺の拡張が障害されることで,  胸腔ドレナージ後のSpaceを埋めることができない状態
 胸膜感染症後, 悪性腫瘍, 放射線療法後, 手術治療後, 胸腔穿刺後など様々な原因
 調べても原因不明な特発性であることも多い.
 Sarcoidosisに伴う症例報告もあり(Southern Medical Journal 2003;96:510-11)
 胸水穿刺にて胸腔内圧が陰圧となることが特徴 (肺が拡張しないため, 抜いた分だけ陰圧となる.)
 胸壁と肺の間にSpaceが生じるため, Trapped Lung自体が胸水貯留の原因にもなる
11例のTrapped Lungの解析
患者の選定基準は ①平均胸腔内圧<25cmH2O, ②他の感染, 悪性腫瘍は除外されていることが条件
 11名の基礎疾患はCABG後, Uremia, Radiation, 細菌性胸膜炎, 胸腔穿刺, Pericardiotomy後, Parapneumonic effusion後.
 胸水検査結果;
平均pH
7.37[7.26-7.46]
平均LDH
124U/L[57-170]
平均Prot
2.9g/dL[2.0-4.2]
細胞数
416/mcL[21-1837]
 細胞は全例で単核球優位であった.
 漏出性胸水のことが多いが, Protは高値を示すことがある.
 LDHは通常漏出性胸水の範囲内となる.
 5/11で胸腔初圧が陰性

Trapped Lungの胸腔内圧の変化
 Trapped Lungのみの胸水貯留の場合は胸水を抜くとすぐに著明に胸腔内圧が低下するのが特徴的と言える.

胸腔内圧の測定
Trapped Lungの最たる特徴は, 肺が胸腔の形に膨張できないこと
 Pleural space elastanceの生理的上限は14.5cmH2O/Lであり, その値を超えるならば肺の膨張障害があると考えられる.

Pleural Elastance (Chest 2009;135:Issue 1(Jan 2009))
胸腔内圧の変化(cmH2O)/穿刺液量(L)
PE > 25cmH2O/Lとなるのは悪性腫瘍 or Trapped Lung
主に3タイプに分かれる
①; 胸水の大量除去しても, 胸腔内圧が変化なし
②; 少量の廃液では圧は変化しないが, 大量廃液にて急激に圧低下
③; 初圧も陰圧であり, その後すぐに低下するタイプ
 
①は正常肺(肝硬変, 心不全)
②はLung Entrapment
③はTrapped Lungを示唆する

Lung Entrapment
 胸腔穿刺中に再拡張が不十分な肺の状態(部分的ならば可能)
 胸膜, 非胸膜疾患双方で起こる (胸膜炎, 胸膜播種, 気道狭窄, 間質性肺炎, 癌性リンパ管腫)

Trapped Lung
 胸膜炎の既往あり, 胸膜の損傷, 肥厚が高度の状態
 吸気時に陰圧となり, 肺が拡張しない為に急速に胸腔内圧は減少する

癌性胸膜炎による胸水貯留を認めた65名のProspective cohort study
(Ann Intern Med 1997;126:768-74)内, 11名がTrapped Lung(+)
 Pleural space elastanceは胸水を500ml排液した前後の胸腔内圧より求める.
 Elastance >19cmH2Oは
 Sn 79%[49-94], Sp 94%[83-99]でTrapped Lungを示唆.

 測定には左図の装置を用い, CVP圧測定Monitorを用い, 100ml排液毎に胸腔内圧を測定する.(呼気, 吸気時の平均)
 ゼロポイントは胸水面が理想であるが, 分からないので穿刺部位とする.
 (圧の変化を追うためにそれも良い)
 胸腔内圧<-10cmH2O, 症状(+), 500ml引けた時点で終了.

Air-contrast Chest CT
Trapped Lung患者11名全例でAir-contrast CTで胸膜肥厚を認める
 胸腔穿刺後, 胸腔内圧が-5cmH2O程度に戻るようにAirを戻し, 胸部CTにて胸膜肥厚を評価. 肥厚は<3mmであることがほとんど.
 胸腔穿刺で胸腔内圧を過度に陰圧にすると疼痛を伴う.
 その場合, Airを戻して胸腔内圧を正常化し, CT撮影するのがよい.
 (Induced pneumothoraxは初期評価にて悪性腫瘍, 感染症が否定的な場合に行う)
 通常, 臓側胸膜は薄く, Air-contrast CTでも認めない.
 空気をいれてCT撮影する事で, 臓側強膜が目立つ様になる.

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