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2014年7月1日火曜日

Therapy-related MDS/AML

Therapy-related MDS/AML: 治療由来MDS, AML
Semin Oncol 40:666-675, 2013
t-MDS/AMLは化学療法, 放射線療法後に生じる血液腫瘍(二次腫瘍).
 HLやNHL, ALL, 肉腫, 卵巣癌, 精巣癌, 骨髄移植後で多い.
 治療後20年以内に0.8-6.3%で認められる. 発症までの平均期間は3-5年. 10年以後は頻度は著明に低下.
 自家HCT後では5年以内に1.1-24.3%の頻度. 発症までは12-24ヶ月以内.
HLの治療後のt-AML/MDS発症例の解析 (Blood. 2014;123(11):1658-1664)
11952例のHLを治療し, 72Mのフォローにてt-AML/MDSを発症したのは106例(0.9%)
 発症までの期間は31M

 最もリスクの高いレジメはBEACOPPescalatedで1.7%
 BEACOPP
escalated <4サイクルでは0.7%
 No BEACOPP
escalated では0.3%であった.
t-MDS/AMLのリスク因子は
 Alkylating agent, Topoisomerase II inhibitors, 化学療法, 高齢者での治療, HCT施行, Total body radiationが挙げられる.

t-MDS/AMLには2タイプ.
Alkylating agent/radiation-related type: 原因薬剤後4-7年で生じる
 2/3がMDS, 1/3がAML with myelodysplastic featuresを発症.
 血球減少で発症し, 多系統の血球減少を認める.
 遺伝子異常(-5/del(5q), -7/del(7q))を認めることが多い.

Topoisomerase II inhibitor-related type: 急性のAMLで発症し, myelodysplastic phaseを経てAMLとなる例は少ない.
 AMLは単球系が有意. 治療後2-3年での発症が多い.
 遺伝子異常は11q23, 21q22が多い.
(Curr Opin Hematol 2013, 20:137 – 143)

t-MDS/AMLの治療
 通常のMDS, AMLに対する治療への反応性は悪い.
 予後も不良であり, 平均生存期間は6ヶ月間.

Allopeneic HCTでは, Busulfan/Cyclophosphamideのconditioning regimenで5年 relapse free survival 43%, lowest non relapse mortality 28%となる.

遺伝子異常は予後推定に有用:
 予後不良因子: Abnormal 7 or complex
 予後良好因子: 5q-, 20q-, Y-, or 正常
 中等度: 上記以外.

Allogeneic HCTを施行したt-AML 545例, t-MDS 323例
(Blood. 2010;115:1850-1857)
 年齢中央値 40歳[4-72]
 治療〜t-MDS/AML診断までは4年[<1-28]
原疾患は,
 HL(23%), NHL(21%), 乳癌(16%), ALL(12%), CLL(1%),
 形質細胞疾患(1%), 肉腫/Ewing(8%), Wilms腫瘍/neuroblastoma(1%)
 精巣/卵巣/germ cell(6%), CNS(2%), 自己免疫(4%),
 他の固形腫瘍(4%), 関節リウマチ(1%), その他(<1%)

治療由来死亡が41%にもなる. 生存率は1年で37%

治療由来死亡のリスク因子
 再発, 生存に寄与する因子


t-MDS/AMLの治療アルゴリズム Curr Opin Hematol 2013, 20:137 – 143

t-MDS/AMLでは通常のMDSの治療の効果は期待できず, 第一選択として幹細胞移植となる.
ただしそれも治療由来死亡リスクが高く, 全体的には予後不良な病態と言える.