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2014年7月9日水曜日

関節エコーによる痛風, 偽痛風の評価

関節エコーによる痛風, 偽痛風の評価
痛風, 偽痛風での関越エコーのシェーマ  (Rheumatology 2007;46:1116–1121)
膝関節エコー像
 健常人では, 奥から大体骨(b), 無エコー領域(c:Hyaline軟骨)の2層となる.
 痛風患者では, Hyaline軟骨の外表面に結晶が沈着し, 不鮮明な線状に描出される.
 偽痛風患者では, ピロリン酸CaがHyaline軟骨内に沈着するため, 無エコー領域の中にスポット状に沈着する.

痛風の所見 (Rheumatology 2007;46:1116–1121)
23例の痛風関節炎患者(37関節)と痛風以外のRheumatic condition 23例(33関節)のエコー所見を評価.
骨頭部: High-echo
Hyaline軟骨: 無エコー
結晶沈着: High-echoの3層となる.
 

Bでは線状エコーが認められるが, これはアーチファクト. 
実際はもっと不鮮明, いびつなラインとなる.

また, 痛風結節もエコーで確認できる. 痛風結節付近の骨には骨融解像も認められる.

偽痛風の所見 Arthritis Care & Research Vol. 66, No. 1, January 2014, pp 69–73
74例のCa pyrophosphate deposition disease(CPDD)と83例のControl(他の慢性関節炎)患者で膝関節エコーを評価
 ControlはRA 19例, Spondyloarthritis 17例, OA 32例, 痛風 15例.
 膝関節のエコーを施行し, Hyaline軟骨, 半月板内の高エコー領域を評価.
CPDD患者におけるXPにおけるCa沈着の有無とエコーによる所見の有無
Hyaline軟骨の評価, 半月の評価双方でエコーの方がXPよりも感度良好.
Control群ではその大半で軟骨, 半月の沈着像は陰性.

この患者群において, 膝関節エコーによる
Hyaline軟骨の沈着像(+)は感度 59.4%, 特異度 100%
半月の沈着像(+)は感度 90.5%, 特異度 100%でCPDDを示唆する所見.

他のStudyでは Joint Bone Spine 77 (2010) 218–221

感度は89-96.4%, 特異度は86.7-97.6%と良好な結果.

関節液が貯留している場合の沈着評価には注意. 
JCR: Journal of Clinical Rheumatology 2013;19:98-100
関節液もHyaline軟骨も無エコー領域であり, 関節液が貯留してる場合, Hyaline軟骨との境界が不明瞭となる.
痛風の場合, Hyaline軟骨表面に沈着像が認められるため, 関節液が貯留している場合, 一見軟骨内に沈着している様に錯覚される.
Aは一見軟骨内の沈着みえるが, 長軸像では無エコー領域の厚さが部位により異なる.
つまり本来の軟骨ではなく, 関節液により肥厚して見えている.
実際の厚さを考慮すると, 軟骨内ではなく表面に沈着していると判断すべきであり,この像は痛風性関節炎と言える.

Aは一見軟骨内の沈着に見える.
エコープローブで圧迫すると(B), Fluidが移動し, 無エコー域の厚さが変化.
高エコー域がより表面となるため, これも痛風性関節炎と言える.