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2014年7月1日火曜日

骨髄異形成症候群 Myelodysplastic Syndrome: 治療

骨髄異形成症候群 Myelodysplastic Syndrome(MDS)
治療

MDS: 総論, 分類, リスク
Arch Pathol Lab Med 2005;129:1299-310
Critical Reviews in Oncology Hematology 2001;40:229-38
Jpn J Clin Oncol 2003;33:153-60

NCCN guidelineより J Natl Compr Canc Netw. 2013 July ; 11(7): 838–874.
Low/Intermediate-1の治療アルゴリズム

Intermediate-2/Highの治療アルゴリズム

MDSによる貧血治療のアルゴリズム
まず鉄欠乏, Vit B12, 葉酸欠乏を除外, 補充する. 必要に応じて輸血も

各治療薬について:
Lenalidomide (レブラミド®)
Epo反応性の無い, 輸血依存のMDS患者43名を,
 Lenalidomide 25mg/d
 Lenalidomide 10mg/d
 Lenalidomide 10mg/d for 21d, 28dサイクル. の3群に割り付け, 16wkフォロー. (NEJM 2005;352:549-57)

上記3群間で反応性に有意差は無く, 合計で56%が反応を示した.
反応を示した24名中, 20名が輸血から離脱,  1名ではHbが2g/dL UP, 3名では輸血頻度が50% DOWN
反応性は5q-Syndromeで最も反応性が高い(83% vs 57%)
副作用としては, Neutropenia 65%, Thrombocytopenia 74%, 25mg/d群では58%が副作用により薬剤使用中止となっている.

5q-Syndromeに対するLenalidomideの効果
5q31- syndrome患者148名に対して, Lenamidomide 10mg/dを21日間投与, 28日毎に繰り返し(46名) もしくは10mg/dを連日投与(102名)  (NEJM 2006;355:1456-65)
最初の8wkは毎週, その後は2週に1回血球評価し, Grade 3以上の副作用が出現すれば5mg/d or 5mg/2dに減量.
24wk後の輸血依存, 骨髄所見を評価.
 → 反応率76%と非常に良好. 輸血離脱も67%.
  連日投与と21日投与, 1wk休薬では特に差は認めない.
Outcome
連日投与(102)
21, 1wk休薬
All
輸血依存離脱
70%
61%
67%[59-74]
輸血量≥50%低下
8%
11%
9%[5-15]
輸血量低下
77%
72%
76%[68-82]
反応までの時間
4.7wk[1-34]
4.3wk[1-49]
4.6wk[1-49]
Hb(g/dL) Baseline
7.7[5.3-10.4]
8.0[5.6-10.3]
7.8[5.3-10.4]
Hb(g/dL) Response
13.4[9.2-18.6]
13.5[9.3-16.9]
13.4[9.2-18.6]
治療の反応性とKaryotypeに関連性無し.
骨髄所見では, 36%で完全に細胞変異が消失.
 74%でMyeloblasts<5%となった.(7.0%[5-14] → 1.0%[0-3])
 Ringed sideroblastsも著明に改善.(40%[30-50] → 0%[0-3])
副作用

Grade 3

Grade 4


副作用
連日投与
21dサイクル
連日投与
21dサイクル
合計
好中球減少
20%
17%
44%
17%
55%
血小板減少
36%
30%
7%
15%
44%
貧血
4%
4%
4%
0
7%
白血球減少
3%
4%
4%
0
6%
皮疹
5%
9%
0
0
6%
好中球減少性発熱
2%
2%
2%
1%
1%
掻痒
2%
4%
0
0
3%
倦怠感
2%
4%
0
0
3%
筋痛
3%
0
0
0
2%
肺炎
1%
4%
1%
0
3%
悪心
3%
2%
0
0
3%
下痢
4%
0
0
0
3%
DVT
3%
2%
0
0
3%
出血
1%
4%
1%
1%
3%
K血症
1%
2%
0
0
1%
発熱
1%
0
0
0
1%

Lenalidomide for low, intermediate-1 risk MDS(del(5q)以外) Blood 2008;111:86-93
 輸血依存のLow or intermediate-1 riskのnon-del(5q) MDS患者214名
 Neu<500, PLT<50000, 肝障害, 腎障害, 他の悪性腫瘍(+)は除外.
 168名(79%)がLow, intermediate-1 risk, 8名がそれ以上, 38名が評価不能.
 21d投与, 28dサイクルで治療したのが114名,10mg/d連日投与で治療した群が100名.
Outcome; 治療反応を示したのは43%のみ.(治療群間で同等)
 完全にTIを達成したのは26%, 頻度が≥50%低下したのが17%.
 TI達成までの期間は4.8wk[1-39]
FAB typeではRA, RARSでTI達成率が良好(34-35% vs 0-15%)
IPSS riskではLow, intermediate-1でTI達成率30-34% (vs 0-5%)

TIを達成した56名のフォローでは, 平均41wkで再度輸血依存となる
副作用頻度;
 Grade 3-4のNeutropeniaは25%, PLT低下は20%で認められる.
 他には皮疹, 掻痒感, 便秘, 下痢, 倦怠感, 浮腫, 悪心が1-4%程度.

Intermediate-2, high-riskのdel(5q) MDSに対するLenalidomide Blood 2009;113:3947-52
輸血依存のIntermediate-2, high-risk del(5q) MDS患者47名を対象.
Neu<500, PLT<25000は除外
 上記49名にLenalidomide 10mg/d for 21d, 28dサイクルで投与.
 Grade≥3の副作用(Neu↓, PLT↓はGrade 4)でDoseを下げる.
開始後8wk経過しても反応がみられない場合で副作用(-)ならば, Doseを15mg/dにUPしさらに8wk. 耐えられない場合は10mg/dのまま.
治療効果;
 13/47(27%)で治療反応を示す (7名がCR, 2名が骨髄所見改善, 4名が赤血球系の増加)
 輸血非依存化したのは12名(25%).
治療反応までに要する期間は平均6.5mo.
Isolated del(5q)であれば治療反応率は67%.
 Isolated del(5q)であれば, 6/9で治療に反応する.
 一方で, 他の異常がある場合は治療反応率は0-9%(0-1名)のみ.
副作用: Cytopeniaは76%で生じた.
Lenalidomideのまとめ
適応
5q- syndromeで特に効果が高く, Low, intermediate-1 riskでは良い適応.
Intermediate-2, high-riskでも効果は期待できるが, その場合はIsolated del(5q)である必要がある.
non-5q- syndromeでは, Low, intermediate-1 riskで効果が期待.
Intermediate-2, high-riskでは効果は期待できない.

使用方法;
基本Doseは10mg/d 21d投与 → 7d休薬 → 再度21d投与 → ...
Grade 3以上の副作用が出た場合は休薬.
改善した時点で5mg/dより再開する.
それでも副作用でるならば5mg/2d, 5mg/3d...と回数を減らす.
副作用が無く, 8wk投与しても改善しない場合, 15mg/dにDose upを試しても良い. ただし効果の程は不明.
副作用のNeutropenia出現時はG−CSF投与で対応する.
5q- syndromeであれば, 10mgを隔日投与21日, 7日休薬も効果的かもしれない
(British Journal of Haematology, 148, 480–490)
5-azacitidine (ビダーザ®)
アザシチジン(ビダーザ®注射用100mg)
75mg/m2(体表面積)を1日1回, 7日間 SC or 10分かけてDIV. その後3wk休薬を1サイクル.
1瓶 49993円也.
DNAでのタンパク合成阻害作用, DNAメチル化阻害作用を示す
Intermediate-2 or High RiskのMDS 358例を対象としたopen-label RCT, Phase III. (Lancet Oncol 2009; 10: 223–32)
 FAB分類にてRefractory anemia with excess blasts, RAEB-t, CMML with ≥10% bonemarrow blasts + WBC<13000/µLの群.
 治療由来のMDS, 骨髄移植適応群は除外.
 Azacitidine 75mg/m
2 7d, 21日休薬群 vs 通常の治療群(Supportive care, 低用量cytarabine等)
アウトカム:
 生存期間, AML進展までの期間は優位にAzacitidineで延長
 


血球の反応性
RBCは40%, PLTは33%で改善を示す. NeuはBSCと差は無し.

副作用の頻度 

Hypomethylating agenet; 5-azacitidine, decitabineの, MDSへの効果を評価した4 RCTsのMeta-analysis. (Haematologica. 2010; 95:303-310)
 5-azacitidineの2 RCTs, decitabineの2 RCTs
 母集団の平均年齢は67-70yr.  >70%がHigh-risk MDS患者.
 Control群は, 3 trialsで対症療法. 1 trialでLow-dose cytarabine, chemo.

Outcome;
 死亡リスクは5-azacitidineで有意に改善 (HR0.67[0.54-0.83]) 

 decitabineでは有意差無し(HR 0.88[0.66-1.17])
 死亡リスクは対症療法, Low-dose cytarabineと比較すると, 改善効果を認めるが, 化学療法と比較すると有意差無し.

3mo死亡
RR0.99[0.72-1.37]
治療由来死亡
RR7.27[1.67-31.64]
AML発症, 死亡
HR0.69[0.58-0.82]
 5-azacitidine群のみ
HR0.54[0.42-0.70]
 decitabine群のみ
HR0.85[0.66-1.07]
Complete response
RR7.63[1.41-41.17]
Partial response
RR6.01[2.93-12.32]
Hematologic improvement
RR3.06[1.09-8.6]
Overall response
RR5.72[1.60-20.39]
Secondary outcomes: 治療反応性は薬剤間で有意差無し.
 輸血依存性の離脱はHypomethylating agenet vs Controlで有意差無し(RR 10.65[0.29-388.82])
Grade 3/4の副作用はHypomethylating agenetで有意に増加(RR 1.21[1.10-1.33])
 最も多いものは血液障害; Neutropenia, Thrombocytopenia
 特にfebrile neutropeniaはRR8.93[1.29-62.07]と著明に増加.


Azacitidineによる副作用 (European Journal of Haematology 2010;85:130–138)
2つのphase III trials(AZA-001, CALGB 9221)にて副作用を評価.

AZA-001



CALGB 9221




Any grade
Grade 3/4
可逆性の割合
平均期間
Any grade
Grade 3/4
可逆性の割合
平均期間(d)
1つ以上の副作用
97.7%
80%


100%
92.7%


貧血
51.4%
13.7%
88.2%
14d
74%
60.7%
97.8%
8d
好中球減少
65.7%
61.1%
88.3%
16d
34%
24%
98.4%
9d
血小板減少
69.7%
58.3%
86.5%
15d
68.7%
56%
96%
8d
便秘
50.3%
1.1%
91.9%
8d
39.3%
3.3%
83.3%
17d
下痢
21.7%
0.6%
95.8%
3d
40%
3.3%
93.5%
8d
悪心
48%
1.7%
95%
4d
67.3%
5.3%
93.8%
10d
嘔吐
26.9%
0
97.9%
1d
48%
2.7%
98.2%
5d
倦怠感
24%
3.4%
85.9%
8d
47.3%
5.3%
83.1%
33d
投与部位発赤
42.9%
0
97%
12d
33.3%
0.7%
84.9%
30d
投与部位反応
29.1%
0.6%
97.9%
12d
3.3%
0
83.3%
18d
発熱
30.3%
4.6%
91.9%
5d
51.3%
2%
93%
7d
Doseの比較(主にLower risk群) J Clin Oncol 2009;27:1850-1856.
MDS患者151例を以下の3群に割り付け
 AZA 5-2-2群: 75mg/m2 5日, 2日休薬後, 更に2日間投与.
 AZA 5-2-5群: 50mg/m
2 5日投与, 2日休薬後, 5日間投与.
 AZA 5群: 75mg/m
2 5日投与のみ.
アウトカム

血球の改善は3群で同等のレベル.
好中球についてはよりAZA 5の方が良好.
血球の改善, 輸血依存の離脱は第一サイクルで半数.
改善する場合, 1-2サイクルで改善を認める例が7-8割

血球減少リスクはAZA5群で低い

免疫抑制療法 Seminars in Hematology, Vol 49, No 4, October 2012, pp 304–311
MDSと再生不良性貧血(AA)にはOverlapがあり, またMDSは自己免疫疾患患者(RA, 多発筋炎, 甲状腺疾患, 慢性血管炎, 糸球体腎炎等)でも多い疾患.
 MDSでもAAと同様に造血幹細胞に対する自己免疫が発症と関与している可能性があり, ATGとCyclospoine Aによる免疫抑制療法が効果的な可能性があるし, 実際治療効果を報告する文献も多い.
 AAと同様にT cellが関与しているため, ATGやCyclosporineが治療薬となる

免疫抑制剤に対するMDSの反応は緩徐.
 開始後6wkで輸血依存から脱し, もっとも血球が改善するのは3-6Mの間.

免疫抑制療法への反応に関わる因子
 早期のMDSは免疫抑制への反応が期待できる.
 また<60y, HLA DR15, 輸血依存からの期間が短い程期待できる
免疫抑制療法のStudyまとめ
 Cyclosporine単剤の治療: 半数以上はCyclosporineで反応が見込める. ただし小規模Studyのみ.

ATG, Cyclosporine, Alemtuzumab, SirolimusのStudy
 

Cyclosporineは3-6mg/kg/d, トラフ値は110-241ng/mL.
効果を評価する為には2-3ヶ月は継続する必要がある.
 
反応までにかかる期間は平均5wk.
 ATGはAAと同様の使用量. ウサギATG 3.75mg/kg/d, ウマATG 15mg/kg/dを5日間.

反応率のまとめ: 

ATG + Cyclosporine Aのphase III trial: SAKK 33/99. (J Clin Oncol 29:303-309. © 2010)
18歳以上のMDS症例(RA, RAEB-I, hypoplastic MDS)で輸血依存の患者群*.
 Blast高値の場合は他の治療が無い症例を採用.(N=180)
*輸血依存: 24m以内の輸血依存で, 以下のいずれかを満たす.
 2U/≥2M, 輸血しない状態でのHb≤8g/dL,
 PLT輸血≥1U/2wkを1ヶ月以上, 輸血しない状態で≤2万/µL,
 Neu<500/µLを満たす群
CML, RAEB-t, 二次性MDS, 感染症は除外.

ウマATG 15mg/kg, 5d投与 + CSA 180日投与  vs Best supportive care(BSC)に割り付け, 比較.
@6Mにおける血球増加はATG+CSAで有意に多い.
29%で反応が見込める.
 白血転化や生存率は両者で有意差無し.

MDSに対するEPO (Blood. 2013;122(17):2943-2964)
MDSに対するEpo 30000-60000U/wkは有意に貧血を改善させる.
Phase 3 RCTでは, 不応性貧血20例において, 1600-3200U/kg/wk IVを行い, 12.5%で貧血の改善を認めた.
また, 87例のMDS(骨髄中芽球<10%)に対して150U/kg/dを使用し, 36.8%で貧血の改善あり.
特にexcess blast(-), 輸血依存(-), 血清Epo<150-200U/Lの群でEpoへの反応性が良好であった.

Epo単剤よりもG−CSFとの併用の方がより効果良好.
 Epo + G−CSFへの反応性の予測因子は, 血清Epo <500mU/mL, 輸血 <2U/mo(国内では4単位/月)が重要
 上記2つを満たせば反応率は74%, 1項目で23%, 0項目で7%.



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