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2012年6月22日金曜日

乳酸とアニオンギャップ

『アニオンギャップから乳酸値を推定する』

乳酸値 ◯mg/dL → ◯/9.08 mmol/Lなので,
 乳酸値 9mg/dLあたり, 1mmol/L ⇒ アニオンギャップは1上昇する

他に原因の無いAG開大性代謝性アシドーシスでは上記方法で乳酸を推定可能です。

検査機によっては mmol/Lで表示されるものもあり、その場合は計算の必要は無し.
乳酸値の測れない施設では活用をしてください。


『上記の応用で、ケトアシドーシス患者でのケトン値の推定』

ケトアシドーシスの患者では、大体乳酸も上昇してます。
DKAならば尿ケトンの感度は99%なので、尿検査でケトンが上昇していることが分かりますが、
AKA(アルコール性ケトアシドーシス)では尿ケトンの感度は45%程度なので、
尿ケトン陰性 = 除外可能という訳にはいきません。


その理由は尿ケトンはAcetoacetateを検出する検査であり、
DKAではBOHB : Acetoacetate(AcAc) = 11:1で上昇する一方,
AKAでは19:1で上昇するので、AKAではAcAcが少ない為です。

では、AKAの症例でケトンの血中濃度を測り忘れたとき、どうやってそれを証明するか? 


アニオンギャップから乳酸上昇分の開大を差し引いて, 残った開大分がケトンによるものと考えます。

例; AG 22のAG開大性アシドーシスで乳酸値が90mg/dLの場合、
 乳酸によるAG開大部分は10なので、22-10=12 → 正常AG.
 このAG開大性アシドーシスは乳酸アシドーシスのみで説明可能

例2; AG 30のAG開大性アシドーシスで乳酸値が90mg/dLの場合、
 乳酸によるAG開大部分は10なので、30-10=20 → まだAGが開大.
 その開大している20-12=8 が、おそらくケトンによる上昇.
 ケトン1000pmol/Lあたり、AGは1開大するので、
 AG開大 8 → 8000pmol/Lのケトンがあるという推測が可能。

2 件のコメント:

  1. 興味深い内容、ありがとうございます。アニオンギャップから乳酸値を推定するという所の説明がよく判らなかったので、別の形で解説して頂けると幸いです。具体例もあると助かります。宜しくお願いします。

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  2. 補足しますと、乳酸の示性式はCH3-CH(OH)-COOHで、分子量は90.08です。つまり1molで90.08g。
    また乳酸は1価の陰イオンになります。(CH3-CH(OH)-COO- + H+)

    アニオンギャップは血中の陰イオンと陽イオン (mEq/L)の差をしめしており、正常値は12前後。
    mEq/L = mmol/Lに変換できるので、乳酸1mmol/L=9.08mg/dLあたりアニオンギャップ1mEq/L上昇する計算となります。
    上の式は9.01と書いていたのですが、9.08の間違えでした。すみません。まぁ、大体9で覚えてもらえれば問題ないです。

    具体例としては、pH 7.21 CO2 16 HCO3 14.6 Na 133 Cl 95 Lac 100mg/dL という結果が出たとします。
    AG 23.4で正常値からの差 ΔAGは11.4, AG開大性代謝性アシドーシスがあると判断。

    で、そのΔAGが乳酸で説明できるか?という疑問に対して、上記を当てはめると、Lac 100mg/dL = 11mmol/L = 11mEq/L分の乳酸という計算。つまりΔAG分の11.4のほとんどが乳酸によるもので説明可能と判断できます。

    これに誤差がある場合は乳酸以外の不揮発酸の存在、つまりケトンや尿毒症やメタノール、エチレングリコール、サリチル酸、シアン化合物、イソニアジド、鉄剤などの存在を疑う切っ掛けとなるかもしれません。
    また、反対にそのようなリスクが無い場合で、病院内で乳酸値が測定困難な場合は逆算して乳酸値を推定する事ができるかもしれません。

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