Lancet Published Online May 23, 2012 (出版前のWeb発表)
IST-3 trial
脳梗塞発症6時間以内の3035名を対象としたopen-label RCT.
t-PA 0.9mg/kg vs Placeboに割り付け, 6ヶ月後の神経学的予後, 死亡率を比較.
ちなみに, 母集団の53%が80歳以上.
発症からt-PA投与までの時間は平均4.2時間.
神経学的予後はOxford Handicap Scale(OHS)で評価. 0-2点が自立.
0; Handicap無し.
1; 軽度の症状のみ. 生活に障害無し
2; 軽度のHandicap. 生活は自立
3; 中等度のHandicap. 介助必要だが, 一部のみ
4; 中等度-重度. 介助必要だが, 常にではない.
5; 重度. 常に介助必要.
Outcome;
6ヶ月でのOHS 0-2は 37% vs 35%, OR 1.13[0.95-1.35] と有意差無し.
6ヶ月でのOHS 0-1は 24% vs 21%, OR 1.26[1.04-1.53] とt-PA群の方が予後良好
死亡率は,
@7日目では 11% vs 7%, OR 1.60[1.22-2.08]とt-PAの方が死亡率が高いが,
7d-6moでは 16% vs 20%, OR 0.73[0.59-0.89]とControlの方が死亡率が高い.
合計して, @6moまでの死亡率は27% vs 27%で両者同等.
気になる脳出血リスクは, 7% vs 1%, OR 6.94[4.07-11.8]とt-PAで7倍に増加.
Sub-analysisでは, 年齢, 発症〜t-PA開始までの時間では特に有意差でず.
NIHSSが高い程, t-PAの効果が期待できる傾向にあるが, これも有意差なし.
まとめると, 6時間以内のt-PAは,
早期死亡率を増加させるが, 全体での死亡率は有意差無し.
OHS 0-2の生活自立は両者有意差ないが,
より神経予後が良好なOHS 0-1をOutcomeとするとt-PAの方が良好となる.
誰に6時間以内にt-PAを使用すべきか?という適応については未だはっきりしない.