ブログ内検索

2012年5月16日水曜日

勉強会 COPD by 城

Dynamedの翻訳


【定義】
慢性的な気流制限、進行性で不可逆
肺実質、小気道が様々な病理的変性を示す
著明な肺外からの影響
長期的な肺機能低下を特徴とする
COPD急性増悪:自然経過で呼吸苦、咳、痰のbaselineが変化すること。急性に起こり、定期治療の変更が必要

【重症度分類】
気管支拡張薬使用後の1秒率と努力肺活量によって重症度分類される

【罹患者】
喫煙者
平均67
男性

【疫学】
世界中で410%が罹患
●15/年以上の喫煙歴があり、現在も喫煙中の患者ではCOPD罹患率47
●COPDが原因で死亡する数 64/10万人/年 
 
【原因】
喫煙などによる微粒子によって慢性的に肺が異常な炎症反応を追こす

risk因子】
喫煙:相対危険度1.45
受動喫煙 40h/×5年でOR1.48
その他ガス(蒸気、ヒューム、バイオマス燃料の煙(OR2.8)、マリファナ、石炭ストーブ)
遺伝:α1アンチトリプシン欠損
その他(大気汚染、小児期の下気道感染反復、結核、慢性喘息(1017培)、子宮内発育遅延、低栄養、社会的ステータス低い、欧米食、アセトアミノフェン(CI1.1)、いびき(1.251.68))

【合併症】
急性増悪
呼吸不全
肺高血圧、肺性心、水疱性肺気腫
うつ、体重減少(悪液質)、筋力低下、正球性貧血または赤血球増多症、心血管障害
感染(ヘモフィリス、肺炎球菌、モラキセラ、緑膿菌、エンテロバクター、ブドウ球菌、クラミジア、マイコプラズマ)

【同時罹患しやすい】
冠動脈障害、気管支癌、骨粗鬆症(3040%)、うつ、関節炎、糖尿病、GERD

【主訴】
呼吸苦、咳、痰増加

【病歴】
詳細にリスク因子を聴取
数年前から咳、痰の増加、息切れ、寒冷刺激で悪化、社会的閉塞状況などが存在
入院や急性増悪歴
活動制限に寄与する併存症

【既往】
アレルギー、喘息、鼻茸、その他の呼吸器疾患、小児期の呼吸器感染

【社会歴】
家族歴
貧困状況
職場:石炭、鉱夫、コンクリート製造

【身体所見】
身体所見単独からmildmoderateCOPDを診断するのは困難 (Lancet 2004 Aug 14-20;364(9434):613)
・身体所見が乏しいからといってCOPDを除外はできない 
・明らかな肺機能が低下するまでは典型的な気流制限の所見は出現しない
・疾患増悪によって意識レベルが低下したり、血行動態が不安定になったりする
皮膚所見:中心性チアノーゼ
胸部所見:水平肋骨、樽状、突き出た腹
肺所見:浅呼吸、wheeze、呼吸音減少、口すぼめ呼吸、副筋の発達
右心不全徴候:足首や下腿の浮腫

【診断】
診断はスパイロメトリー、症状、喫煙歴、年齢、併存症などから
スパイロメトリー:
COPDが疑われれば全例で施行
・気管支拡張薬使用後FEV1/FVC0.7 or FEV180
・ただし、正確なcutoff値は検証されていない。FEV1/FVC0.7は高齢者ではoverdiagnose 45歳未満ではunderdiagnose

【除外】
喘息(COPDclearに区別出来ないことも多い、また共存することもある)
気管支拡張症
●DPB
拘束性肺障害
びまん性肺神経内分泌細胞過形成
心不全
嚢胞線維症
睡眠時無呼吸
結核
円背

【検査】
スパイロメトリー
・呼吸器症状がある場合に適応
・気管支拡張薬使用後FEV1/FVC0.7 or FEV180
FEV1/FEV6の感度89%特異度98% ※FEV1/FVCより診断能高い Chest 2009 Apr;135(4):991 full-text
・ピークフロー(最大呼気流量)<80%で感度91%、特異度82
・その他の呼吸機能は診断能高くない
2分間歩行テストが機能評価に役立つ
●ABG1秒率<50%、右心不全ある場合適応)
 stageではpCO2>50 pO2<60
●CBC
●αアンチトリプシン (※45才以下、白人、家族歴あれば)
Bil :血清Bil正常低値の場合、肺がん、死亡率上昇
●Xp
・気管支壁肥厚
・血管陰影発達
・肺膨張(>30cm)、CPangledull、横隔膜平低、saber-sheath trachea、胸骨と上行大動脈間のspaceが>2.5cm
・ブラ
・肺野外側の動脈が欠損

【治療】 
急性増悪時は別記載
喫煙
・進行を抑えるもっとも効果的な方法 GOLDglobal initiaitive for Chronic Obstructive Lung DiseaseA
・ブプロピオンは禁煙に有効 level2
運動
・呼吸苦や疲労感などの症状に対する耐用力を増進。入院率も下げる。GOLD A
・軽い運動を続けるだけで、620年間で死亡率や入院率が30%下がった。
45/×5/週のエルゴメータなどでのhardトレーニングで大きく呼吸苦が減少した。(intervalでも可 1215/3週)
3045/×3/週のwalkingは室内のcyclingより耐用力を上げる
・上肢の訓練は肺機能を高める
・ヨガ、気功は運動能力、肺機能を高める level 2
呼吸器リハビリ
・呼吸苦、歩行距離、QOL改善に効果  level2
慣習的な薬物治療
・どのような治療薬も肺機能の低下を食い止めることはできない。 GOLD A
・薬物療法は合併症や自覚症状を減少させるために使用される
stage1FEV1>80%):短時間作用型気管支拡張薬吸入 吸入できなければテオフィリンの徐放製剤(100600mg経口/日)を
stgae24:長時間作用型気管支拡張薬吸入(どのタイプがいいかはエビデンスなし)を追加 GOLD A ただし、
・チオトロピウム(スピリーバ)はプラセボ、イプラトロピウム(アトロベント)よりも急性増悪と入院率を減少させる。 level 2
・スピリーバviaレスピマットによって死亡率が上昇 BMJ2011 Jun14;342:d3215full
LABAは急性増悪、自覚症状、rescueの使用頻度を減少させる level 1
・抗コリンもβ刺激も比較的効果あり
・長時間作用型気管支拡張薬を吸入中の患者で、症状緩和目的にテオフィリンを追加するのはbeneficial。 GOLD B
・吸入ステロイド:気管支拡張薬使用後も急性増悪を繰り返したり、1秒率<50%(stage34)のときは吸入ステロイドによって急性増悪の頻度が減る。 GOLD A ただし、肺炎のリスクは上がる level 2 
LABAとステロイドの併用はプラセボと比較し死亡率と自覚症状を軽減、ただし、単剤と比較した場合のエビデンスは不十分。
・吸入ステロイド+LABA患者が吸入ステロイドをwithdrawalすると、呼吸苦や急性増悪の頻度が上昇する
・急性期は高容量(≧30mg)で短期間使用。経口ステロイドの慢性投与は避ける 
・安定しているCOPD患者においてMDI(定量噴霧式吸入器)+spacer vs ネブライザーは効果同等 respir Med 2005 Mar;99(3):372
・吸入効果の点ではレスピマットもMDIも差なし
・ホスホジエステラーゼ4阻害剤はFEV1を改善させ、急性増悪を減少、ただし自覚症状は変化なし level 3
・ロフルミラストは急性増悪の頻度を減少(急性増悪率1.14vs1.37) level 2
酸素療法
・目標は PaO260mmHg SpO290
・運動中も酸素投与を推奨 運動可能期間と呼吸苦を改善 ただし安静時の低酸素がない患者には効果なし
・慢性呼吸不全では持続酸素投与(>15/日)で生存率up
・ヘリウム+酸素の混合によって呼吸苦と運動パフォーマンスが改善
その他の薬物治療
・経口去痰薬:急性増悪をわずかに軽減。特にムコダインは急性増悪の頻度と風邪をひく率を減少させるかもしれない level2
・アジスロマイシン250mg/日(エリスロマイシンも)は高リスク患者での急性増悪を減らすが、聴力障害のリスクも増加する level 1
・持続モルヒネは、コントロール困難な呼吸苦を改善 level2
・インフルエンザワクチンは深刻な増悪を減少させるため推奨 GOLD A
・肺炎球菌ワクチンは≧65歳と<65歳のFEV140%の肺炎発症率を下げる GOLD B
手術
・肺嚢胞切除術は一部の患者で呼吸苦を軽減させ、肺機能を上昇させる
・肺移植は進行期の患者ではQOLと肺機能が上昇する。 GOLD C
栄養療法
・カロリーやクレアチンの追加など、栄養サポートを受けさせたが効果がなかった