Pediatr Nephrol (2011) 26:19–28
成人では1日に1mEq/kg程度の酸性物質が産生される。小児では1-3mEq/kgと様々。
それに釣り合うように腎でのHCO3再吸収、HCO3の産生が行われる。
生体内での酸(H+)産生の増加、
胃、尿中からのHCO3排泄増加
腎でのHCO3産生低下(尿中NH4の低下, H+排泄低下) で代謝性アシドーシスとなる
腎不全患者での酸性物質の産生量は健常人と同等か、やや低い程度。
腎不全患者の代謝性アシドーシスの主な原因は、腎でのHCO3産生の低下に起因する。
腎からのHCO3排泄は腎不全患者でも増加することは少なく、アシドーシスの原因には成りにくいが、それでも報告例はあることはある。
>> つまり、腎不全による代謝性アシドーシス(MA)ではHCO3 12-23mEq/L程度の軽度な代謝性アシドーシスであることがほとんど。また、GFR<25よりMAが生じてくる。
また、GFR<15となるような重度のCKDではHCO3は更に低下することが分かっている。
【腎不全とAG開大性MA】
腎不全によるMAではAG開大, 非開大双方ともあり得る。
早期CKDではAG非開大性が多いが、末期ではAGは開大しやすい。が、一概にそうとも言えないことも多く、あまり気にする必要は無い。予後への影響も少ない。
●163名の慢性腎不全患者の電解質を評価したStudyでは(Yonsei Medical Journal 1985;26:39-43)
Group
|
N
|
Na
|
K
|
Cl
|
CO2
|
AG
|
Control (Cr <1.5)
|
12
|
140.5±4.1
|
4.1±0.4
|
103.9±2.8
|
25.5±3.3
|
11.0±4.7
|
Mild (Cr 1.5-3)
|
21
|
138.9±4.8
|
4.2±0.6
|
104.6±5.4
|
23.2±3.4
|
11.0±4.4
|
Moderate (Cr 3-6)
|
34
|
138.1±5.2
|
4.8±0.8
|
107.1±7.0
|
20.1±5.0
|
10.8±4.8
|
Severe (Cr ≥6)
|
108
|
135.8±6.4
|
5.0±0.4
|
103.0±8.9
|
16.6±4.7
|
16.2±5.5
|
Cr>6となる例でようやくAGが開大してくる傾向がある。
さらに細かく分類すると、
Cre
|
AG
|
<3
|
11.0±4.4
|
3-6
|
10.8±4.8
|
6-9
|
13.1±5.4
|
9-12
|
15.3±5.3
|
12-15
|
16.1±4.3
|
15-18
|
18.6±4.9
|
≥18
|
20.5±4.5
|
慢性腎不全患者において、Cre>6では、Cre値とAGは相関する。
高岸
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