【定義】
下記のcombination
・瀰漫性肺胞出血
・急速進行性の半月体形成性糸球体腎炎
・抗糸球体基底膜抗体
【障害臓器】肺と腎
【患者層】
・30歳以下の男性
・60歳以上の女性
・smokerは肺胞出血起こしやすい
・白人に多く、アフリカ人にはめったにいない
【有症率】1/100万
【原因】自己免疫疾患
【病理】糸球体基底膜内のⅣ型collagenの六量体が変性し、IgGに暴露される
【リスク因子】
・HLA-DR2とHLA-DRB1対立遺伝子
・喫煙
・重金属、揮発性炭化水素溶媒に暴露
【合併症】慢性腎不全
【病歴】
28人の主訴まとめ
・呼吸困難 79%
・喀血 75%
・全身倦怠感 64%
・咳 64%
・インフルエンザ様症状 32%
・嘔気、嘔吐 25%
・体重減少 18%
・関節痛 18%
・筋肉痛 18%
・24時間以上無尿 18%
・胸痛 14%
【身体所見】
抗GBM抗体陽性の腎炎と肺胞出のある28人の患者の身体所見
・聴診でcrackle 50%
・発熱 43%
・肉眼的血尿 36%
・浮腫 32%
【診断】
・ELISA法またはWesternblot法で血清抗GBM抗体陽性
・腎生検で半月体性糸球体腎炎
【除外】
・Granulomatosis with Polyangiitis (Wegener's)
・SLE
・顕微鏡的多発血管炎
・ChurgStrauss
・DIC
・その他の糸球体腎炎
【検査所見】
●特異的項目は抗GBM抗体と腎生検。ただしANCA陽性の場合はGranulomatosis with Polyangiitisなどの別の疾患を考慮
●抗GBM抗体
・特に化学発光免疫測定法(chemiluminescence immunoassay)では感度96%特異度99.6%陽性尤度比253.6 陰性的中率0.04 Nephrol Dial Transplant 2012 Jan;27(1):243
●Crn上昇は正常~36%上昇まで
●ANCA
・ANCA陽性の5%は抗GBM疾患、抗GBM抗体陽性の32%はANCA陽性
・ANCA、抗GBM抗体の両方とも陽性の場合、
⇒肺胞出血41%、全例で血尿+蛋白尿、Crn>5.7㎎/dlが63%、70%が48時間以内に透析
●尿所見
・血尿
・ネフローゼにならない程度の蛋白尿 ただし蛋白尿22.5g/日という報告もあり
●腎生検
・糸球体基底膜に沿ってIgG沈着が免疫蛍光法によってみられる
・半月体
●肺
・BALで赤血球増多
・肺生検は必要ないが、肺胞出血やヘモジデリン貪食、間質性浮腫が認められる
【治療】
●喀血があれば集中治療室で呼吸管理
●血漿交換、ステロイド、シクロホスファミドの組み合わせで死亡率減少
・3つ組み合わせ→死亡率HazardRatio0.29 腎不全HR0.49
・ステロイド+シクロホスファミド 死亡率HR0.36
・1年後生存率
Crn<5.7では 100%
Crn>5.7だが透析必要ない患者 83%
透析患者では 65%
・5年生存率
Crn<5.7 84%
Crn≧5.7 62%
透析患者 36%
●血漿交換
・抗糸球体基底膜抗体の数値が抑制されるまで、もしくは14日間
・5%アルブミン50㏄/kg 2~4L 毎日 FFP300~600㏄ 3日間で交換
・メチルプレドニゾロン7~15㎎/kg経口(max1g)を3日間併用 以降1㎎/kg経口 6~12カ月
・血小板数<70×10^9/㏄ もしくはHb<9g/dlの場合は血漿交換を控える
●プレドニゾロン
・1㎎/kg/日(max60mg)経口
・6週間かけて20㎎/日まで減量し以降はゆっくりテーパ。
・6ヶ月間で終了。
・点滴と経口で差なし
・ステロイド単独では無効。複数の治療の一部として効果あり
●シクロホスファミド
・2~3㎎/kg/日経口(55歳以上では2㎎/kg/日)
・2~3カ月で終了
・WBC<4×10^9で中断 WBC>4×10^9で低用量から再開
●免疫抑制する場合は予防的抗生剤や制酸剤も考慮
●禁煙
●その他
・3種治療に応答ない場合リツキシマブ、ミコフェノール酸が寛解、再発防止に有効
・シクロスポリン追加も腎機能改善に効果あり 4mg/kg/日
・6か月以上抗GBM抗体陰性なら腎移植可
【予後】
●未治療であれば常に致死的
●治療されれば、腎機能は低下するが、生存率は高い
・1年後生存率75~94%
・1年後腎機能保持率8.5~45%