肝硬変には鉄欠乏のほうが良いという話がカンファで出ました。
本当か調べてみると、、、
まず大前提として、肝炎患者ではHepcidin値が低いので、そもそも鉄過剰となりやすい。(J Hepatol 2009;51:845-52)。
そして、HCV肝炎患者では肝臓の鉄沈着が肝障害を増悪させるという説もあります。フリーラジカルとか。
そこで、国内ではHCV肝炎患者への瀉血療法にて、フェリチン値を10-20ng/mLまで低下させるという治療法が行われている。そして、HCV肝炎患者では肝臓の鉄沈着が肝障害を増悪させるという説もあります。フリーラジカルとか。
それについてのStudyもありました。
Intern Med 2007;46:637-42
HCV肝炎40名のOpen-label RCT. 血清フェリチン>150ng/mLの群を対象として, 鉄制限食のみ vs 制限+2wkに1回の400mlの瀉血(フェリチン≤20µg/
Lまで継続)に割り付け, 比較. アウトカムはALTの低下率. と残念ながら臨床Outcomeが無し.
結果は、
両方とも有意にALTは低下するけど、瀉血群のほうがより低下率が良好。
貧血は瀉血群でHb 15→11.7, フェリチン値も445→15.
ちなみに鉄制限のみでは貧血進行無し.
臨床Outcomeを見たものは1つありました. J Gastroenterol 2007;42:830-36
IFN治療に不応 or 不適応のHCV肝炎、線維化はF2-3程度の75名のProspective cohort. その内40名で瀉血療法週1回200g.
目標フェリチン<10µg/mLで中断。残り30名は鉄制限食のみ。これはNon-RCTです。
CohortなのでEvidence Levelは低いですが、今後に期待できるのでしょうか。
これはOutcomeを肝癌発症率にしています。結果は、、、
5年目の肝癌発症率は5.7% vs 17.5%, 10年目では8.6% vs 39%と有意に低下.
瀉血療法(-)群は肝癌発症OR1.76[1.05-3.33].
ただし注意点は、母集団はどれも貧血(-)という点。
少なくともHb<11となるような貧血群では行われていないため、その群で予後が改善する保証はありません。