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2017年3月29日水曜日

結核(TB)と非結核性抗酸菌症(NTM)の肺画像所見の違い

喀痰よりAFB陽性の患者より, 124例のNTM症例と210例の肺結核症例のCT所見を比較
(Eur Rev Med Pharmacol Sci. 2015 Jul;19(13):2429-39.)
・患者群
・両群における画像所見の頻度

・多変量解析による両群で有意差を認める所見
NTMではより気管支拡張, 嚢胞壁が薄い, 3cm以上の空洞病変を認める
・嚢胞壁が厚い, 3cm未満の空洞病変は結核を疑う
・また, 1cm未満の結節や無気肺, 縦隔リンパ節腫脹, リンパ節の石灰化は結核を疑う所見.

喀痰AFB陽性例のCT所見を評価. 75例が肺結核, 20例がNTM症例.
(BMC Pulmonary Medicine 2014, 14:65 )

・空洞性病変, ランダムな結節病変, Tree-in-budは有意に結核で多い所見
・気管支拡張と嚢胞性変化はNTMで多い所見となる.


・多変量解析では, 気管支拡張+嚢胞性変化は強くNTMを疑う所見と言える
・胸水やランダム分布の結節は結核を疑う所見

HIV陰性で空洞性病変(>10mm)を伴うNTM症例128例と同様に空洞性病変(+)のTB症例128例の画像所見を比較.
(PLoS ONE 12 (3): e0174240.)

・病変部位は有意差なし.
・空洞性病変のタイプが異なり,
 TBでは空洞壁厚が有意に厚く, NTMでは薄い.
 また, NTMでは胸膜付近の空洞の壁が肥厚し, 胸膜との癒着が認められる.
・Tree-in-budでは, TBでは結節が大きめ(3mm以上)で, 境界明瞭.
 気管支拡張はNTMで有意に多い所見.

多変量解析によるNTMを示唆する所見

・空洞壁が肥厚し, 胸膜と癒着: OR 5.54[2.02-15.2]
・Tree-in-budパターンの結節境界が不明瞭: OR 8[2.1-30.4]
・空洞を伴わない結節(≥10mm): OR 0.72[0.56-0.9] (結核を示唆)
・右上肺の気管支拡張: OR 4.7[1.3-16.4]



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まとめると, NTMや結核を疑う病状において,
・気管支拡張や嚢胞性変化が目立つ場合はNTMを考慮する
・空洞性病変の壁が厚い場合(最も厚いところで10mm近く)はTBらしい
 胸膜に近い部位が肥厚し, 胸膜と癒着している場合はNTMらしい
 空洞壁が薄い場合(最も薄いところで1-3mm程度)の場合はNTMらしい
・Tree-in-budは結核で多く認められる所見であるが, 特にそれぞれの結節が大きい場合(3mm以上, 特に6mmを超える場合)は結核らしいと言える.
・空洞の伴わない結節が目立つ場合も結核らしい