これをめぐるStudyについては2014年12月にまとめているため, 参照してほしい
PCI施行後(Drug-Eluting stent)の抗血小板薬 2剤療法(DAPT)の期間は?
それについて, どのような患者群でDAPTを12ヶ月以上延長した方がよいか,
延長した方が害がとなるかを評価するスコアを検討したStudyが発表
DAPT trialにおける11648例を解析し, PCI後12-30M DAPTを継続することの利益, 害を予測する予測ルールを作成.
(JAMA. 2016;315(16):1735-1749.)
・上記で作成したルールをPROTECT trialにおける8136例でValidation.
DAPT開始後12-30Mにおける虚血性心疾患, ステント狭窄, 出血のリスク因子
この結果よりスコアを作成
項目
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点数
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年齢 ≥75歳
65-75歳 <65歳 |
-2点
-1点 0点 |
喫煙歴
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1
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糖尿病
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1
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心筋梗塞でPCIを施行
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1
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以前のPCI既往, 心筋梗塞既往
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1
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パクリタキセル溶出ステント
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1
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ステント径<3mm
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1
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心不全もしくはEF<30%
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2
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静脈グラフトへのステント留置
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2
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-2~10点で評価. 点数が高いほど, 心血管イベントリスク, 出血リスクが高い.
スコアのカットオフと, DAPT継続 vs 単剤治療群によるアウトカム
心血管系イベント, ステント狭窄:
・スコア≥2群ではDAPTによりリスク低下効果がある.
・スコア<2では低下効果はなし.
・スコア≥2群ではDAPTによりリスク低下効果がある.
・スコア<2では低下効果はなし.
出血や死亡リスク:
・スコア≥2では出血リスクに有意差なし.
・スコア<2では出血リスクが増加
・スコア<2では出血リスクが増加
スコア≤0では, 重症な出血や死亡リスクが上昇する結果
この結果より, 以下のことが言える
・PCI後12ヶ月DAPTし, 問題がなかった患者において,
スコア ≥2点ではDAPTを継続
スコア <2点ではDAPT終了
さらにスコア <0点ではDAPTで予後が不良となる可能性がある.
スコア ≥2点ではDAPTを継続
スコア <2点ではDAPT終了
さらにスコア <0点ではDAPTで予後が不良となる可能性がある.
Validation cohortにおける評価では,
スコア >2は心血管イベント, ステント狭窄リスク因子(HR 2.0[1.3-3.1])
一方で出血リスクには有意差は認められず.
Validation cohortよりもDerivationの方が重症例が多く, その点が出血リスクで有意差がなかったのでは、という解釈となっている
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Validationでもスコア≥2点は有意な心血管, ステント狭窄リスクとなるため, DAPTは継続する方が良い可能性が高い.
低リスク群(<2点)では無理に継続する必要性はなく, さらに予後を悪くする可能性も考えなくてはならない.
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・PCI + DAPT施行(大半がアスピリン+クロピドグレル)で, 抗凝固療法(-)の14963例において, DAPTによる出血リスク因子を評価し, スコアを作成.
・PLATO trial(n=8595), BernPCI registry(n=6172)のDAPT施行患者群(n=10081例)において, スコアのValidationを施行.
・患者は待機的, 準緊急, 緊急PCIを施行し, その後DAPTが開始された群を対象(88%がASA+クロピドグレル). また, 長期間の抗凝固薬を必要とする患者は除外.
・上記患者群を前向きにフォローし, PCI後7日以降に発症した院外出血イベントを評価した(7日以内の出血患者はフォロー終了).
・21963pt-yのフォロー(中央値522d[365-725])において, 出血頻度は12.5/1000pt-y, Major bleedingは6.9/1000pt-y
Derivation cohortにおける出血リスクは, 年齢, 出血既往歴, WBC上昇, Hb低値, CCr低下の5項目. この項目を用いてスコアを作成(PRECISE-DAPTスコア)
PRECISE-DAPT scoreと出血リスク
<10ptをVery low,
11-17ptをLow,
18-24ptをModerate,
≥25ptをHigh risk
DerivationとValidation cohortにおけるスコアと出血リスク
・Very low riskではどのCohortでもリスクは低いがLow riskはCohortによってはModerateと同等のこともありそう
DAPT期間別の評価
・High risk群では, ≥12MのDAPTでさらに出血リスクが上昇する.
リスク別の虚血, 出血リスク
・Very low, low riskでは, 長期間も短期間DAPTも虚血, 出血リスクは同等.
・Moderateでは長期間の方が虚血イベントは少なく, 出血リスクは同等
・Highでは虚血リスクは同等で, 出血リスクが上昇する.
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さらに, PAD(末梢動脈疾患)の有無がDAPTの期間決定に重要であるとの報告.
PRODIGY trialのSub解析において, PADの有無とDAPT期間によるアウトカムを評価
まずPRODIGY trialから (Circulation. 2012;125:2015-2026.)
PRODIGY trial: PCI(Bare-metal, zotarolimus, paclitaxel, everolimus-eluting stent)を施行された2013例を対象としたRCT
・上記患者群をClopidogrel + ASA併用 6ヶ月群 vs 24ヶ月群に割付け, 心血管イベントリスクを比較.
・BMSで6ヶ月群に割付けられた場合, 安定した冠動脈疾患に対するPCIを行なった患者ではClopidogrelは30日以降いつでも中止可とした.
母集団データ, カテ所見, 処置の内容
アウトカム
・心血管イベントは両者で有意差を認めず, また出血リスクは24ヶ月継続群で有意に高い結果であった.
・BMS, DES別の評価でもアウトカムの改善効果は認められない.
PRODIGYのSub解析において, PADの有無でDAPT期間とアウトカムに変化があるかどうかを評価.
(JAMA Cardiol. 2016;1(7):795-803. )
・PADの有無別のアウトカム評価は, PAD+群の方が心血管イベントリスクは上昇する
アウトカム: PADの有無別のDAPT期間とアウトカム
・PAD(+)群では長期間のDAPTの方がより心血管イベントリスク軽減効果が良好と言える.
・PAD+群では長期間のDAPTでも出血リスク上昇は認められない.
(2017.3.10 Update)
PRECISE-DAPTスコア: PCI + DAPT後の出血リスクを評価するスコア
(Lancet 2017; 389: 1025–34 )・PCI + DAPT施行(大半がアスピリン+クロピドグレル)で, 抗凝固療法(-)の14963例において, DAPTによる出血リスク因子を評価し, スコアを作成.
・PLATO trial(n=8595), BernPCI registry(n=6172)のDAPT施行患者群(n=10081例)において, スコアのValidationを施行.
・患者は待機的, 準緊急, 緊急PCIを施行し, その後DAPTが開始された群を対象(88%がASA+クロピドグレル). また, 長期間の抗凝固薬を必要とする患者は除外.
・上記患者群を前向きにフォローし, PCI後7日以降に発症した院外出血イベントを評価した(7日以内の出血患者はフォロー終了).
・21963pt-yのフォロー(中央値522d[365-725])において, 出血頻度は12.5/1000pt-y, Major bleedingは6.9/1000pt-y
Derivation cohortにおける出血リスクは, 年齢, 出血既往歴, WBC上昇, Hb低値, CCr低下の5項目. この項目を用いてスコアを作成(PRECISE-DAPTスコア)
PRECISE-DAPT scoreと出血リスク
<10ptをVery low,
11-17ptをLow,
18-24ptをModerate,
≥25ptをHigh risk
DerivationとValidation cohortにおけるスコアと出血リスク
・Very low riskではどのCohortでもリスクは低いがLow riskはCohortによってはModerateと同等のこともありそう
DAPT期間別の評価
・High risk群では, ≥12MのDAPTでさらに出血リスクが上昇する.
リスク別の虚血, 出血リスク
・Very low, low riskでは, 長期間も短期間DAPTも虚血, 出血リスクは同等.
・Moderateでは長期間の方が虚血イベントは少なく, 出血リスクは同等
・Highでは虚血リスクは同等で, 出血リスクが上昇する.
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PRECISE-DAPTスコアは5項目でのみ評価する比較的簡便(計算はややめんどくさい)なスコア.
このスコアにて17点以下ならば長期間DAPTも短期間も予後は変わらない.
18-24点のModerateではできれば長期間の方がよいのかもしれないが, グレー.
≥25点では出血リスクが高いため, 長期間は避ける方が良い. という結果.
このスコアにて17点以下ならば長期間DAPTも短期間も予後は変わらない.
18-24点のModerateではできれば長期間の方がよいのかもしれないが, グレー.
≥25点では出血リスクが高いため, 長期間は避ける方が良い. という結果.