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2017年3月3日金曜日

酸素は投与しすぎない方が良いだろう

単一施設のRCTであるが, インパクトが強い結果.
(JAMA. 2016;316(15):1583-1589. )
Oxygen-ICU trial: 単一施設, open-label RCT.
 ICUに72h以上滞在する見込みのある患者群を対象.
酸素投与の指標をPaO2 70-100mmHgもしくはSpO2 94-98%とする群(conservative group) vs. SpO2 ~150mmHg, SpO2 97-100%とする群(conventional control group)群 に割つけ, ICU死亡率を比較.
・除外項目: DNAR, 免疫不全, 好中球減少, COPD急性増悪, ARDS(P/F<150)

Conservative: SpO2 70-100mmHg, SpO2 94-98%を維持するようにFiO2を増減し, 維持可能な最小量を使用する.

Conventional: FiO2は0.4を下限とし, SpO2 ~150mmHg, SpO2 97-100%を維持するようにFiO2を増量.

母集団のデータ

・当初660例を予定していたが, 患者数を集めるのに苦渋し480例で終了している

アウトカム

・ICU死亡率は有意にConservative群で低い.
 その差8.6%, NNT 11.6
・ショック発症, 肝不全発症リスク, 菌血症リスクは有意に低下

さらに, ICU患者 14441例のPaO2と死亡リスクを評価した報告より, 
(Crit Care Med 2017; 45:187–195)
・PaO2 が200mmHgを超える管理を行う場合, 死亡リスクが上昇する結果.

HYPERS2S trial: フランスにおける2x2 factrial designのDB-RCT. 
 敗血症性ショック患者を酸素投与, 補液治療其々に割付け, 比較
(Lancet Respir Med. 2017 Feb 14. pii: S2213-2600(17)30046-2. doi: 10.1016/S2213-2600(17)30046-2. [Epub ahead of print] Hyperoxia and hypertonic saline in patients with septic shock (HYPERS2S): a two-by-two factorial, multicentre, randomised, clinical trial.)

・患者は成人例の敗血症性ショック(20mL/kgの補液治療に反応せず, 昇圧剤投与が必要), 且つ挿管管理されている患者群.
・除外項目はP/F <100(PEEP 5で), 血清Na <130, >145, 頭蓋内圧亢進, 心停止にて入院, 著名な心不全, 妊婦, 担当の判断により不適とされた症例.

酸素投与: 
 初期の24時間, FiO2 1.0を維持する群(Hyperoxia), その後はNormoxiaと同様の管理.
  vs. 最初からSpO2 88-95%で維持する様調節する群(Normoxia)

補液治療: 初期72時間, 補液のBolus投与を,
 3%食塩水を280mlを使用する群(Hypertonic) 
  vs. 生理食塩水 280mlを使用する群(Isotonic).
 12h毎にNaを評価し, 24hで12mEq/L以上の上昇, Na>155の時点で高張食塩水投与は終了する.

母集団
StudyはN=800を目標としたが, N=442の時点でHyperoxia, Hypertonic群に優位な点が乏しく, 安全性に懸念があるとのことで中断.

アウトカム


・28, 90日死亡リスクはNormoxia vs Hyperoxia, Isotinic vs Hypertonicで有意差なし.
・ICU滞在期間, 腎代替療法リスクも両者で変わらない結果.

合併症
・Hyperoxiaでは合併症リスクが上昇する.
 無気肺リスクの上昇
 また, ICU weaknessのリスクも増加する可能性.
・Hypertonic Salineでは, 24h後の胸部XP所見に影響.

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ICUにおける酸素投与, FiO2の設定ではPaO2を高値で保つ意義は乏しく, むしろ合併症の増加や死亡リスク増加に関与する可能性があるため避けるべきと言える.

補液負荷としての, 3%生理食塩水も特に意義はないか

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