AHAのACLSガイドライン 2015では,
・挿管している心停止患者において, 蘇生開始20分後のETCO2 <10mmHgでは蘇生を中止することも考慮する(IIb)
・また, 上記のみで判断するのでなく, 一つの判断基準として用いるべき.
(Circulation. 2015;132[suppl 2]:S444–S464. )
という記載がある.
この「ETCO2 ≤10mmHg」という値は, CO2産生能力が正常の1%に満たないことを意味する. つまり生命活動がほぼないとみなされる
院外CPA症例150例の解析.
(N Engl J Med 1997;337:301-6.)
挿管後し評価したETCO2の値と予後
・非生存者と生存者の比較では, 初期のETCO2値は同等.
・蘇生開始20分後の値は有意に非生存群で低い結果.
蘇生した患者群における, 院内死亡, 生存退院でのETCO2比較
・院内死亡や生存退院でETCO2値は使用できない.
院外CPA症例(非外傷性のPEA) 90例を対象とした前向きStudy
(Ann Emerg Med June 1995;25:762-76)
・現場で挿管を施行し, ETCO2をモニタリング.
・ROSC症例と非ROSC症例でETCO2を比較.
・両群での比較: 初期のETCO2は有意差ないが, 20分後はROSC群で有意に高値となる
院外CPA症例 27例において, ETCO2の経時的変化を評価
(Ann Emerg Med June1995;25:756-761.)
・CPR開始後1分でのETCO2(初期値)はROSC群で有意に高い.
・2分後も同様にROSCで高く,
・CPR中のETCO2ピーク値も有意にROSC群で高い結果.
成人のCPA症例 124例を対象とした前向きStudy.
(American Journal of Critical Care; Nov 2001; 10: 391)
・CPRで挿管された後にETCO2モニタリングを開始し, 5分毎に記録.
・ETCO2モニタリングは20分継続もしくは蘇生終了, 自己心拍再開し10分経過まで施行.
ETCO2と予後を比較した.
患者群:
目撃されたCPA 68.5%
ROSC症例 43%
24h以上生存 31.5%
退院時生存 13.6%
挿管までの時間は平均 12.3分.
蘇生時間は平均 43.2分
ETCO2と生命予後
・どの時間帯でもETCO2 >20mmHgは生命予後良好な可能性.
・反対に≤20mmHg, 特に≤10mmHgでは予後不良の可能性が高い.
ETCO2の評価時間と値からの死亡率
心停止患者におけるETCO2と予後を評価したMeta-analysis
(J Intensive Care Med. 2015 Oct;30(7):426-35.)
・ROSCした患者におけるCPR中のETCO2は25.8±9.8mmHg
・ROSCしなかった患者ではETCO2は13.1±8.2mmHgと有意に低い.
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・蘇生中のETCO2は自己心拍再開, 生命予後を評価するのに有用な指標の一つ
・ETCO2 ≥20mmHgの場合や, 初期は低値でも蘇生中に徐々に上昇し, ≥20mmHgとなる場合は少し頑張ってみようという気になる.
・一方で≤10mmHgでCRPを継続していても上昇してこない症例や, 上昇しても20mmHgに満たない場合はこれはダメかな、、、という気になる.
ガイドラインでもあるように, これのみで判断するのは適切ではなく, あくまでも一つの指標として用いるのが良い