ブラジルにおける単一施設でのRCT.
・待機的心臓血管手術(CABGや弁置換)後にICUで低酸素血症(P/F<250, PEEP ≥5)となった患者群を対象
・<18歳や>80歳, 慢性肺疾患の既往, 心臓外科手術の既往, 神経筋疾患, 平均肺動脈圧>35mmHg, LVEF<35%, BMI<20,>40, 緊急手術例, ノルアドレナリン>2µg/kg/min使用例, 治療抵抗性の低血圧, 不整脈がある場合, 気胸合併例は除外.
これら患者群をICUにおいて, 以下の呼吸器設定で管理
・VTは6mL/kg(予想体重), FiO2 0.6, PEEP 5cmH2Oとし,
その後Intensive strategy群 vs Moderate strategy群に割り付けた
共通: リクルートメントの方法は以下のとおり
①Low-flow pressure-volume curveを評価
②PEEP 5から, 2cmH2O/秒の速度で, 30cmH2Oまで上げて維持.
維持時間はそれぞれの群を参照
その後同じ速度で徐々に戻してゆく
③リクルート開始4時間後に再度Pressure-vol curveを測定. 測定は初期の設定を5分間継続後に行う.
・リクルートメントは血行動態が安定した患者で施行
各群の方法:
Intensive strategy群: リクルートメントで②を60秒間維持する.
・これを60秒開けて3回繰り返す.
・リクルートメント維持時の呼吸器設定: PEEP 30, PCでPS 15, RR 15, 吸気時間1.5秒, FiO2 0.4
・インターバルでの設定: PEEP 13, VT 6mL/kg, FiO2 0.6となるようにVC, PCを設定, 吸気時間1秒, 呼吸数はCO2 35-45に維持するように設定.
Moderate strategy群: リクルートメントで②を30秒間維持する.
・これを60秒開けて3回繰り返す.
・リクルートメント維持時の呼吸器設定はCPAPモードで20cmH2O, FiO2 0.6
・インターバルでの設定: PEEP 8, VT 6mL/kg, FiO2 0.6ととなるようにVC, PCを設定, 吸気時間1秒, 呼吸数はCO2 35-45に維持するように設定.
リクルートメント施行 4時間後に再度リクルートメントを施行し, また各施設の方法でWeaningも進める
・WeaningはPSを5cmH2Oとなるまで低下させる方法.
PEEPは動かさず, 各群で抜管まで固定する.
・抜管後以下を満たす場合はNIVでCPAP 10cmH2O以上, PS 5-10cmH2Oを使用する
酸素投与下でSpO2 ≤90%
5L/分以上の酸素投与が必要
呼吸数が30回以上
母集団データ
アウトカム
・Intensive strategyにおいて, 肺合併症の重症度は有意に低下.
ICU滞在期間や入院期間も有意に短縮される.
・院内死亡やBarotraumaは有意差なし.
・他に, 酸素投与の必要性, 挿管期間, 抜管後のNIV使用率も有意に低下する結果.
・肺炎や創部感染症, 出血などは有意差認めず.
リクルートメント前後のPressure-volカーブ
・Intensive strategy群では有意な肺コンプライアンス改善が認められている.
・低酸素リスクも少ない.