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2017年2月24日金曜日

膝窩動脈塞栓症, 膝窩動脈絞扼症候群

中年男性の突如発症の左下肢の痺れ. 痺れ自体は軽度で, L4領域に一致.
しかも発症1時間程度で自然に改善した, という経過.

その後 徐々に間欠跛行が出現し, 約1週間後にABIの低下を指摘. 膝窩動脈塞栓が認められた.

急性の下肢痛, 下肢の痺れでは神経を疑う前に血流を疑うというのは重要なポイントだが, このように発症初期は軽度で, 徐々に増悪するようなパターンもある.

膝窩動脈塞栓症では急性経過と緩徐経過の2パターンある
(Ann Surg. 1991 Jul;214(1):50-5.)
・急性経過は7日間以内で出現し, 典型的な動脈閉塞による虚血症状を呈するパターン.
・緩徐経過は発症は突如発症の安静時痛や間欠跛行となるが, 症状は軽度であり, 7日以上かけて増悪するパターンと定義.

60例の膝窩動脈塞栓症患者の解析では, 急性発症が41例(68%), 緩徐発症が19例(32%)であった.
・緩徐発症群における症状の経過は中央値30日間[7-120]

両群における症状頻度.

・急性経過群では安静痛や急性虚血症状(感覚, 運動障害, 筋障害)を示す.
・緩徐経過群では急性虚血症状は伴わず, 間欠跛行や安静時痛, 足先の壊死を呈する.
・緩徐経過群におけるABIは 0.32
 間欠跛行(+)軍では0.44, 安静時痛では0.27, 壊死群では0.13
・急性経過群ではABIを評価された症例はほぼなし.

塞栓の原因

・医原性を除外すると, 緩徐経過19例, 急性経過24例と両者の頻度はほぼ同じくらい
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膝窩動脈塞栓症では, 急性経過の虚血以外に, 半分程度(医原性を除く)が緩徐進行経過となる. 
やはり以前 雑誌 総合診療の「しびれるんです」という特集で書いた通り, 「突如発症, 急性発症の痺れでは神経の前に血流をチェック」というのは鉄則だと思う.

また膝窩動脈に関連して押さえておきたいのが, 「膝窩動脈絞扼症候群」

膝窩動脈絞扼症候群: Popliteal Artery Entrapment Syndrome
(MILITARY MEDICINE, 179, 1:e124, 2014)(Vascular. 2012 Dec;20(6):314-7.)
・若年の, 特にアスリートに認められる下肢虚血, 機能障害の原因
・膝窩において, 動脈と周囲筋組織が干渉し, 下肢血流が低下. 間欠跛行や下肢の冷感, 運動時の下肢痛が出現する.
・膝窩の解剖により, いくつかのタイプに分類される

頭の片隅に置いておくとよいかもしれません.

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