例えば, Child-Pughは以下の5項目を点数化し, 5-6点をA, 7-9点をB, 10-15点をCと分類する
1pt
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2pt
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3pt
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腹水
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(-)
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軽度
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中等度
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Bil(mg/dL)
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=< 2
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2-3
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> 3
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Alb(g/dL)
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> 3.5
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2.8-3.5
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< 2.8
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INR
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< 1.7
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1.8-2.3
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> 2.3
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脳症
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(-)
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1-2度
|
3-4度
|
また、ALBIグレードというAlbとBilのみで計算する簡易な評価方法もあり,
日本人におけるALBIとChild-Pugh別の生存期間は以下のとおり
・Child-Pugh Cになると1.5年程度で50%の死亡リスクとなる
・Bでは1年生存率は80%程度.
(J Clin Oncol 33:550-558. © 2014)
アルコール性肝障害の予後
デンマークのNaiton-wide cohortにおけるアルコール性肝障害患者の予後
(Alcohol and Alcoholism, 2015, 50(3) 352–357)
・全体でみると, 1年生存率は70%[69-71], 5年生存率は43%[42-45]
・アルコール性肝硬変患者では当然死亡リスクは高く, 1年生存率は約65%程度だが, 肝炎患者でも1年生存率は70-80%程度.
短期予後: 同じくデンマークのデータより, 28日, 84日死亡率を評価
(Journal of Hepatology 2011 vol. 54 j 760–764)
(点線が28日, 実線が84日)
・肝硬変(+)群では28日死亡率は15-20%, 84日死亡率は25-30%と高い.
・肝硬変(-)でも10-20%と高い
死亡リスク因子:
・年齢, 肝硬変が有意なリスク因子.
短期予後:アルコール性肝障害患者を対象とした19 RCTsのControl群における短期死亡リスクを評価(N=661)
(World J Gastroenterol 2010 May 21; 16(19): 2435-2439)
死亡率は160日間[21-730]のフォローで34.2%であった.
・死亡原因は肝不全が55.5%, 消化管出血 21.2%, 敗血症 7.3%が最も多い
・1ヶ月死亡率は20.4%
母集団で分けた時の1ヶ月死亡率:
・中等度〜重度の肝障害では22.7%となる.
死亡原因は何が多いか?
アルコール性肝障害患者の死亡原因(@デンマーク)
(Clinical Gastroenterology and Hepatology 2014;12:1739–1744)
・84日以内の死亡理由は肝不全, 感染症, 肝腎症候群が多い原因.
・85日以降では出血や腫瘍, 原因不明なども増加
肝硬変の有無別の死亡理由
肝硬変(-)例も10年間で24%が肝硬変に進行.
・飲酒継続がリスク(HR 2.14[1.50-3.05])
---------------------------------
・アルコール性肝障害ではウイルス性や他の慢性肝炎よりも全体的に予後が悪く, アルコール性肝炎患者の予後は肝硬変Child-Pugh B程度と同じくらいと考えておく必要がある.
大まかに, アルコール性肝炎 = 慢性肝疾患の肝硬変A-B
アルコール性肝硬変 = 慢性肝疾患の肝硬変 C と捉えておくと良いかも. (特に飲酒継続している患者ではそれ以上)
・また短期的に増悪, 合併症を併発し, 死亡に至る可能性もあり, その点よく患者や家族に説明せねばならない(アルコール性肝障害の場合, Acute on chronicの急性肝炎を生じるリスクがある).
・まあ酒はやめよう. 本当に.
・Child-Pugh Cになると1.5年程度で50%の死亡リスクとなる
・Bでは1年生存率は80%程度.
(J Clin Oncol 33:550-558. © 2014)
アルコール性肝障害の予後
デンマークのNaiton-wide cohortにおけるアルコール性肝障害患者の予後
(Alcohol and Alcoholism, 2015, 50(3) 352–357)
・全体でみると, 1年生存率は70%[69-71], 5年生存率は43%[42-45]
・アルコール性肝硬変患者では当然死亡リスクは高く, 1年生存率は約65%程度だが, 肝炎患者でも1年生存率は70-80%程度.
短期予後: 同じくデンマークのデータより, 28日, 84日死亡率を評価
(Journal of Hepatology 2011 vol. 54 j 760–764)
(点線が28日, 実線が84日)
・肝硬変(+)群では28日死亡率は15-20%, 84日死亡率は25-30%と高い.
・肝硬変(-)でも10-20%と高い
死亡リスク因子:
・年齢, 肝硬変が有意なリスク因子.
短期予後:アルコール性肝障害患者を対象とした19 RCTsのControl群における短期死亡リスクを評価(N=661)
(World J Gastroenterol 2010 May 21; 16(19): 2435-2439)
死亡率は160日間[21-730]のフォローで34.2%であった.
・死亡原因は肝不全が55.5%, 消化管出血 21.2%, 敗血症 7.3%が最も多い
・1ヶ月死亡率は20.4%
母集団で分けた時の1ヶ月死亡率:
・中等度〜重度の肝障害では22.7%となる.
死亡原因は何が多いか?
アルコール性肝障害患者の死亡原因(@デンマーク)
(Clinical Gastroenterology and Hepatology 2014;12:1739–1744)
・84日以内の死亡理由は肝不全, 感染症, 肝腎症候群が多い原因.
・85日以降では出血や腫瘍, 原因不明なども増加
肝硬変の有無別の死亡理由
肝硬変(-)例も10年間で24%が肝硬変に進行.
・飲酒継続がリスク(HR 2.14[1.50-3.05])
---------------------------------
・アルコール性肝障害ではウイルス性や他の慢性肝炎よりも全体的に予後が悪く, アルコール性肝炎患者の予後は肝硬変Child-Pugh B程度と同じくらいと考えておく必要がある.
大まかに, アルコール性肝炎 = 慢性肝疾患の肝硬変A-B
アルコール性肝硬変 = 慢性肝疾患の肝硬変 C と捉えておくと良いかも. (特に飲酒継続している患者ではそれ以上)
・また短期的に増悪, 合併症を併発し, 死亡に至る可能性もあり, その点よく患者や家族に説明せねばならない(アルコール性肝障害の場合, Acute on chronicの急性肝炎を生じるリスクがある).
・まあ酒はやめよう. 本当に.