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2014年8月30日土曜日

薬剤性肝障害

薬剤性肝障害 Drug-induced Liver Injury (DILI)について
Mayo Clin Proc. 2014;89(1):95-106

薬剤による肝障害.
 処方薬, OTC, 漢方, サプリメントによる, 無症候性の肝酵素上昇~急性肝不全まで様々な病態を示す
 ただし, 明確な診断基準が無く, 原因薬剤が明らかではない場合も多い.
 アイスランドでのProspective cohortでは, 薬剤性肝障害の頻度は毎年19.1[1.54-23.3]/100000人口. 約5000人に1人

原因薬剤として多いものは抗生剤.
特にAMPC/CLAでの肝障害が多い.
 他には抗結核薬, NSAIDが主な原因を占める.
 アセトアミノフェンは重症肝炎の原因で多いが, 全体的には少ない.

DILIの分類
大きく, Idiosyncratic (unpredictable)とIntrinsic (predictable)で分類
Intrinsic DILIの代表例としてはアセトアミノフェン.
 用量依存性に発症し, 潜在期間も短い. 大半がこちらに分類される.
Idiosyncratic DILIは予測困難であり, 潜在期間も長い.
 AMPC/CLAやNSAID, イソニアジドがこれに属する.

肝障害パターンからの分類
 Hepatitic(肝細胞障害型)とCholestatic(胆汁うっ滞型)とMixed(混合型)
 R ratioで分類することが多い. *R ratio; ALT(ULN)/ALP(ULN)
 肝細胞障害型では, ALT≥3ULNで, R ratio≥5,
 胆汁うっ滞型では, ALP≥2ULNで, R ratio≤2,
 混合型では, ALT≥3ULN, ALP≥2ULNで, R ratio 2-5 となる.

 これらは原因薬剤の特定に有用ではあるが, 1つの薬剤が様々な障害をきたし得ること, 明確に分類することが困難な例も多いことから, 完全に分かれるわけではないと認識すべき
 検査する時期でも上記分類は異なってしまう.
DILIの192例の解析では, 診断初期と晩期の分類は
 肝細胞障害型 57% → 45%
 胆汁うっ滞型 22% → 37%
 混合型 21% → 17% といった具合に変化してしまうので注意.

Immune or nonimmuneでの分類
Immune-related DILIは主にアレルギー, 過敏反応による肝障害.
 発熱, 皮疹, 好酸球増多, 自己抗体を検出することが多い.
 また, Stevens-Johnson syndrome, TEN等も含まれる.
 特徴としては薬剤開始から1-6wk程度の早期に発症し, 再度薬剤投与にて急性に発症する.
 原因薬剤はACE阻害薬, アロプリノール, フェニトイン, ジクロフェナク, AMPC/CLA, TCA等, DIHSをきたすもの.

Nonimmune-mediated DILIは, 投与開始から~1年での発症といった, 遅い肝障害を呈し, 全身症状は少ない.
 また, 薬剤再投与での再発は認めない.

Drug-induced autoimmunelike hepatitis; DI-AIH. 
 薬剤による自己免疫性肝炎で, ステロイドで治療可能な可能性あり.
 肝酵素上昇, Ig上昇, 抗核抗体, 抗平滑筋抗体を認める.
 原因薬剤はミノサイクリンとNitrofurantoinが有名で, 近年キノロンと抗TNF-α阻害薬での報告がある.
 DI-AIHとAIHの鑑別は難しく, 組織所見にて慢性肝炎の有無があるかどうかで判別する方法もあるが, 確定的ではない.
 近年では再発, 再燃があるかどうかで判別することが一般的(DI-AIHでは再発はしない)

肝障害パターン別の原因薬剤と組織所見からの原因薬物の推定
肝障害を来すサプリメント, ハーブ類

DILIのリスク因子
年齢は原因薬剤により異なる
 例えばイソニアジドでは高齢者程肝障害リスクが上昇するが, バルプロ酸やアスピリンでは若年程リスクとなり得る.
 代謝, 分泌, 吸収の面で考慮すると, 全体的には高齢者程 High-riskと考えた方が良い.
 また, 女性の方がやや多く, リスク因子となる.
 人種差もある.
 HBVやHCV, アルコール性肝障害, 脂肪肝を背景にもつ患者もリスク.


DILIのアセスメント
 薬剤性の急性肝障害を認めた場合, 薬剤の種類, 薬剤の開始時期, 肝障害のタイプを評価.
 Bilが2mg/dLを超える等, 障害が強い場合は, HBV,HCV, HEV等のウイルス肝炎, 自己免疫性肝炎,  Wilson病, NAFLDといった非薬剤性の原因もチェックすべき.

Liver-enriched micro RNAs(miRs)も原因特定に有用な可能性.  アセトアミノフェンによる肝障害ではmiR-122が有意に上昇(1265[491-4270] vs 279.2[194.2-922.9]【非アセトアミノフェンによる肝障害群】vs 12.1[7.0-26.9]【健常Control群】)
 miR-192もアセトアミノフェンによる肝障害で上昇するが, 健常人, 非アセトアミノフェン群では上昇しない (6.9[1.96-29.16] vs 0.4[0.30-0.69])

DILIの治療
DILIの治療は原因薬剤の中止と対症療法が基本.
 アレルギーが関連した肝障害ならば, その薬剤や, 同クラスの薬剤を避けるべきであり, 原因機序の評価も重要となる.
 HypersensitivityやImmunoallergicによるものの場合, ステロイドが効果的であるが, 投与する必要があるかどうかは議論があるところ.

DI-AIHではステロイドが効果的だがAIHよりも短期間でよい
(PSL 20-40mg/dで開始し, 肝酵素正常化すれば6mで減量)

原因薬剤に特異的な治療
 バルプロ酸による肝障害に対するCarnitine.
 アセトアミノフェンに対するNAC投与
 NACは非アセトアミノフェン性肝障害でも肝移植例を減らす報告があり, 全てのDILIへの投与が推奨される.

非アセトアミノフェン性の急性肝障害へのNアセチルシステイン


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