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2014年8月6日水曜日

精巣痛: 精巣捻転

精巣捻転 Testicular Torsion
Urol Clin N Am 2008;35:101-108
Am Fam Physician 2006;74:1739-43

Minor Emergencies

米国では<25歳の男性 1/4000の罹患率
 90%で腹膜鞘状突起の奇形が認められる (精巣鞘膜が精管も覆っている)
 4-8%に外傷が先行するが、通常誘因はなし
 外傷後, 疼痛が1時間以上持続するようならば捻転を疑い精査する必要がある

捻転後4hrで虚血が始まる
 <6hrで整復できれば90%回復
 12hr経過で50%
 24hr経過で10%の機能温存率

9割が内旋型, 180-720°回旋している.

精巣捻転の鑑別疾患
精巣上体炎の鑑別診断と同様(急性精巣痛を生じる病態)
精巣垂(Appendix testis)の捻転 (ミュラー管の依存物, 精巣上部にある)
 若年の精巣の急性疼痛において、70%を占める
 12%が精巣捻転, 10%精巣上体炎

Historyにて鑑別するのは困難
 一般的に精巣上体炎は数時間~数日の経過
 捻転は数分の経過とされる
 外傷歴の有無もヒントとなる.

身体所見
精巣垂捻転を示唆
 精巣上部に2-3mmの硬い腫瘤, 圧痛(+)
 同部位に青色の変化も認める“Blue dot Sign”
精巣捻転を示唆
 精巣上体が上部, 前面, 側面で触れる (通常後面に位置する)
 捻転にて精巣が健側とくらべて高位にある → 特異的な所見
精巣挙筋反射の消失 → Sensitivity 99%
(大腿内側面を上から下にピンでこすると同側の睾丸が挙上する反射, >=0.5cmの挙上で陽性ととる )

小児患者における精巣捻転
1wk以内の急性陰嚢症, 精巣痛にてER受診した523名の小児患者(平均年齢10yr[1wk-18yr])の評価 American Journal of Emergency Medicine (2010) 28, 786789
上記のうち3.25%(17名)が精巣捻転と診断.
診断
%
診断
%
精巣上体炎
32.3%
精巣捻転
3.3%
原因不明の陰嚢痛
34%
特発性陰嚢腫大
3%
外傷
9%
Varicocele
3.7%
Appendix testisの捻転
7.7%
Hydrocele
1.5%
その他
4.7%


精巣捻転を示唆する病歴.
Variable
OR
発症<24hr
6.66[1.54-33.33]
嘔気, 嘔吐
8.87[2.6-30.1]
腹痛
3.19[1.15-8.89]
High position of the testis
58.8[19.2-166.6]
精巣挙筋反射の低下, 消失
27.77[7.5-100]

生後30日〜17歳までの急性陰嚢痛±腫脹を呈した患者395例 Ann Surg 1984;200:664-673
精巣痛の原因頻度
診断
%
精巣捻転
38%
精巣上体炎, 精巣炎
31%
精巣垂捻転
24%
特発性精巣梗塞
1.7%
特発性陰嚢浮腫
1.3%
正常, ほぼ異常なし
3%
症状, 所見の頻度

精巣捻転(130)
精巣垂炎(94)
精巣上体炎
精巣炎(125)
特発性
陰嚢水腫(5)
年齢
13.0±3.5
9.9±2.9
13.1±3.0
6.0±2.8
右側
52
47
64
0
左側
78
47
59
0
両側
0
0
1
5
疼痛持続時間≤24h
74
26
41
4
嘔吐
45
3
14
0
悪心のみ
8
1
4
0
疼痛: 急性持続性
67
20
22
0
疼痛: 間欠性
2
15
4
0
疼痛: 持続, 増悪傾向
21
22
46
3
疼痛無し
2
4
2
1
同様の疼痛の既往あり
30
3
7
0
排尿障害あり
2
0
23
0
発熱 ≥101F
2
1
34
0
陰嚢上部に圧痛, 発赤あり
3
15
2
0
精巣上体に圧痛, 硬結あり
3
2
33
0
U-WBC≥10, RBC≥10
5
2
43
0
WBC>10000
64
23
59
1
年齢分布

1977-1995年に受診した17歳以下の急性陰嚢痛 388例 Scandinavian Journal of Surgery 2007;96:62-66
診断
%
精巣捻転
26%
精巣上体炎, 精巣炎
10%
精巣垂捻転
45%
鼠径ヘルニア嵌頓
8%
睾丸瘤
6.2%
その他
5.2%

精巣捻転, 精巣垂捻転, 精巣上体炎の症状

精巣捻転
垂捻転
精巣上体炎
疼痛, 圧痛
68%
94%
58%
精巣の浮腫
44%
39%
50%
Dark testis
21%
-
-
Hard testis
19%
3%
8%
陰嚢水腫
19%
17%
13%
陰嚢発赤
16%
32%
37%
腹痛
7%
7%
8%
悪心, 嘔吐
5%
2%
3%
BT>37.5
2%
3%
16%
Blue dot sign
-
10%
-
まとめ: 精巣捻転 vs 精巣上体炎

精巣捻転
精巣上体炎
好発年齢
若年
全年齢, 若年
Onset
MIN
HR-DAY
Provocation
改善しない
挙上にて改善
Quality of Pain
激痛
中等度
Associated Symptom
嘔気, 嘔吐
UTI
精巣挙筋反射
陰性
陽性
Doppler US
血流低下
血流増加
挙上による疼痛の変化(Prehn’s sign)の診断特性は良くない
精巣挙筋反射は30ヶ月でほぼ100%が獲得する反射であり, 捻転ではその反射が消失する.
感度99%とかなり良好.

精巣捻転の検査所見
Doppler US
 精巣捻転では血流の低下, 精巣上体炎では血流亢進
 SN 88%, SP 90% 
シンチグラフィ
 Technetium 99mを用いるが、時間、簡便性を考慮すると現実的ではない
 感度は100%


精巣捻転の治療
基本は手術治療
 徒手整復は手術の準備中、待つ間に施行すべき
 腹膜鞘状突起の奇形は両側性であるため、健側の固定術も忘れてはいけない

徒手整復
 成功率は論文により差がある, 26.5%~80%
 9割が内旋型なので、外旋して整復する
 患者は仰臥位, 術者は足側に立ち、母指と示指で患側の精巣をはさむ
 180度外旋させ、疼痛の改善をみる
 整復されれば直ちに疼痛は緩和される
 180度以上の捻転もあるため、数回繰返す必要もある

鎮静剤の経静脈投与も考慮
 局所麻酔; 2%リドカイン 5mLを精索の外輪へ

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