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2013年12月11日水曜日

IVLのPET検査から考えること

IVL(Intravascular lymphoma) 血管内リンパ腫は小血管内でリンパ腫細胞が認められる病態であり, Diffuse Large B cell Lymphomaの1つに数えられる(9割がDLBCL, 1割がT cell系)

欧米の報告では皮膚病変やCNS病変, 症状で発症する例が多いが,
日本や台湾等アジアからの報告では, 不明熱, 肝脾腫, 血球貪食症候群で発症する例が多く, そのようなIVLをAsian-variant IVLと呼ぶ.

その辺は機会があれば詳しく書きます

近年PETが普及し始めると同時に, IVLに対するPET検査の報告がチラホラと見るようになった.

61歳女性, 不明熱と衰弱. 血液検査ではLDHのみ高値 Eur J Nucl Med Mol Imaging (2010) 37:1801
画像所見も問題無し. 
PET-CTでは腎臓, リンパ節, 骨に集積を認め, 腎生検にてリンパ腫細胞を検出
64歳男性の貧血と骨痛 Clin Nucl Med 2012;37: 810-811
 Gaシンチ(左)とPET-CT(右). 

 腎臓, 骨髄への集積を認め, 同部位の生検にてリンパ腫細胞を認めた.

39歳女性, 1ヶ月間の再発性の発熱で紹介 Mayo Clin Proc. 2010;85(8):e56-e57 
 所見は特になく, LabにてLDH 1051, IL-2R 24500, フェリチン 1019, Hb 7.0, PLT 37000/µLとBicytopenia(+).
 Sat90%と低かったが, 胸腹部CTでは正常.
 PET-CTでは両側上肺野と腎臓へ集積(+)
 ランダム皮膚生検にて血管内にリンパ腫細胞(+)

この文献では他に3例を報告


日本国内からの報告; Int J Hematol (2008) 88:149–153
大垣市民病院において診断した4例のIVLでPET-CTを施行.
 PET-CTの集積部位は骨, 脾臓が最も多い.
 A; 3番の患者のPET-CT, B; 1番の患者のPET-CT

これらの報告から考えるに,
IVLは小動脈, 静脈, 毛細血管でのリンパ腫と考えられてきたが, 多臓器に分布し, 通常の検査では引っかからないリンパ腫と考えることができる.
 多い部位は骨髄と肺, 腎, 脾臓.
 骨髄は集積する部位を穿刺すれば腫瘍細胞が見つかる可能性あるが, 違う部位を穿刺しても情報は得られない.
 肺も部分的な集積が認められ, それがIVLでSatが下がる理由と考えられる.
 Asian variant IVLは骨髄浸潤からの血球貪食症候群で説明可能かもしれない.

 生検部位はPET-CTであたりをつけることでより早期診断に繋がるかもしれない
 
また話は変わるが, より多くの微小血管を含む為に,
ランダム皮膚生検ではなるべく深く採取し, 多くの血管を含めることが大事(脂肪組織まで採る, もしくは血管腫の部位を採るべし)