結果が考えさせられるものでした.
ITP: 自己免疫性血小板減少症はしばしば診療する疾患の1つ.
基本的にはステロイドで治療し, 難治性や再燃を繰り返す場合はトロンボポエチンR作動薬や, 免疫抑制療法, 脾摘を考慮します.
今回, 初回治療からMMFを併用する方法を評価したRCTが発表.
(N Engl J Med 2021;385:885-95.)
FLIGHT: ITPに対するGC + MMFの併用療法
ITPと診断され, PLT<3万で治療が必要と判断された成人症例を対象としたopen-label RCT.
・授乳婦, 妊婦, HBV, HCV, HIV, CVID, MMFやGC禁忌症例は除外.
・上記患者群をGC単独群 vs GC+MMF併用群に割り付け比較した.
・GCはPSL 1mg/kgを4日間, その後2wk毎に減量; 40mg→20mg→10mg→5mg→5mg隔日→中止
また, DEX 40mgを4日間のPulseも許容
・MMFは500mg bidを開始し, 750mg, 1g bidまで2wk毎に増量
6ヶ月後にPLT>10万を達成できた症例では, 毎月250mgずつ減量 PLT>3万を維持できる最小量で継続する.
母集団
・初期のPLTは7000前後アウトカム
・2年間の治療失敗率(PLT<3万)は, MMF群で22% vs GC単独群で44%, HR 0.41[0.21-0.80]
と有意にMMF併用群で治療成績は良好.
・PLT>10万維持できているのは91.5% vs 63.9%
・開始後2wkにおける PLT反応率は両者で同等
・出血性合併症は両者で同等
しかしながら, QOLは有意にMMF使用群で低い結果.
・疾患自体の不安は 両群で差はなかった
・薬剤を使用し続ける ことに対する QOLの低下があるか
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・MMF併用群のほうが明らかに治療成績は良好であるものの,
QOLはMMF併用群の方が低い結果.
・副作用頻度は両者ともに変わらない.
・一過性に改善する可能性が一定数期待できる疾患で, 且つ初期にガッツリと免疫抑制を行う必要性が低い疾患に関しては,
その後のQOLを考慮すると, 長期間使用する薬剤を併用するよりは, まずは短期的ステロイドで診て, その後の経過でこれら薬剤の併用を決める, というマネージメントはやはり合理的といえるか.