(The American Journal of Medicine (2021) 134:1115−1126)
臨床上よく遭遇するSubclinical Hypothyroid.
不定愁訴でも認められることがあるが, その症状は果たしてSubclinical hypoのせいと言っていいのか?
デンマークにおける3つのCohortより, 8903例を評価.
・このうちSubclinical hypothyroidは376例であり,
Euthyroidの7619例と甲状腺関連症状を比較
(疲労感や皮膚乾燥, 気分変動, 便秘, 動悸, 呼吸苦, 嚥下困難, 脱毛・・・など)
・Subclinical hypo, Overt Hypoの定義
顕性甲状腺機能低下症(Overt hypo): TSH>3.6mU/L, fT4<9.8pmol/L
潜在性甲状腺機能低下症(Subclinical hypo): TSH >3.6で顕性甲状腺機能を満たさない
甲状腺機能正常(Euthyroid): TSH 0.4-3.6
アウトカム
各種症状はSubclinical hypoとEuthyroidで差は認めず.
年齢別の評価
・若い人ほど倦怠感や 気分変動が多い (甲状腺に関係なく)
・高齢者では呼吸苦が若干増
TSH別の比較
・Euthyroid, Subclinical hypoの範疇では, TSHの値別でも症状の頻度は変わらない.
併存症の有無が 症状に関連する
・Subclinical hypoも Euthyroidも同じ
各要素と症状への関連
・女性は倦怠感が多く,
≤60歳は倦怠感, 気分変動, 落ち着かなさに関連する
肥満や喫煙は呼吸苦に関連
併存症(+)は各種症状との関連がある.
症状と背景疾患のリスク
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さまざまな症状をSubclinical hypoが原因としてはいけない, という戒め.