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2021年9月23日木曜日

降圧薬の低用量多剤併用療法

高血圧の初期治療は, 単剤から開始してその後増量する方法が基本ではあるが,

初期から多剤を, 少量ずつ併用する方法の方がより目標血圧達成が早いとの報告が増えてきている

QUARTET: オーストラリアにおけるDB-RCT.
 未治療 or 1剤のみで治療されている高血圧症を対象とし,
 降圧薬4剤少量で治療する群 vs 単剤治療群に割り付け

(Lancet 2021; 398: 1043–52)

・4剤はIrbesartan 37.5mg, Amlodipine 1.25mg, Indapamide 0.625mg, Bisoprolol 2.5mg

  (ARB, CCB, サイアザイド類似, β阻害を通常使用量の1/4量ずつ持ちいる)

・単剤治療はIrbesartan 150mgを使用

・目標血圧に到達しない場合は追加治療可能.
まずはAmlodipine 5mgから併用する.

・対象は

 (1)外来血圧140-179/90-109mmHgを満たす群, または日中の平均血圧が≥135/85mmHgを満たす群


 (2)単剤治療されている患者で, 外来血圧135-179/85-105mmHg または日中の平均血圧が≥125/80を満たす群

・アウトカムは12wkにおける降圧効果, <140/90達成率

母集団


アウトカム

12wk, 52wkにおける
両群の治療内容

・4剤併用群では8割近くは
そのままの投与量で継続.

・Irbesartan単独群では,
6割弱がそのまま. 4割が追加治療.

血圧の変動


・血圧は有意に4剤併用群で低下

・副作用は一部K値やBUNに差はあるものの, ほぼ同等


同様に, 初期から多剤を使用する報告にTRIUMPHがある

TRIUMPH: 成人例の高血圧(sBP>140, dBP>90, またはCKDやDMがある患者ではsBP/dBP >130/80)で, 新規に降圧薬を開始する/単剤治療から増量する必要がある群を対象.

(JAMA. 2018;320(6):566-579. doi:10.1001/jama.2018.10359)

・固定量の3剤療法(telmisartan 20mg, amlodipine 2.5mg, chlorthalidone 12.5mg)使用群 vs 通常の治療群に割り付け, 降圧コントロールを比較した.

アウトカム

・6ヶ月における血圧目標達成は
有意に3剤開始群で良好.


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初期から複数の薬剤を低用量で組み合わせることで, 単剤治療開始よりも迅速な降圧作用が得られる.

これらが心血管イベントリスクにどう関わるかは今後研究が進みそう. 3-4剤の合剤もできてくるかもしれない。