Systolic HF(EF<35%)患者 123例のProspective study.(Am J Clin Nutr 2011;93:332–7.)
・この患者群を3年間フォローし、塩分摂取量と心不全増悪リスクを評価した.
・塩分摂取量は少量群(≤1.9 Na/d), 中等量群(2.0-2.7g Na/d)
大量群(≥2.8g Na/d)の3群に分類. (NaCl換算では≤4.75g, 5-6.75g, ≥7.0g)
大量群(≥2.8g Na/d)の3群に分類. (NaCl換算では≤4.75g, 5-6.75g, ≥7.0g)
塩分摂取量と3年間の急性心不全発症率
摂取量(Na)
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平均摂取量(Na)
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NaCl換算
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急性心不全発症率(3y)
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≤1.9g/d
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1.4±0.3g/d
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3.5±0.75g
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12±6%
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2.0-2.7g/d
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2.4±0.3g/d
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6.0±0.75g
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15±7%
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≥2.8g/d
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3.8±0.8g/d
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9.5±2.0g
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46±11%
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急性心不全リスク, 全死亡リスクは塩分摂取量≥7.0g/日群で有意に上昇する結果.
少量群と中等量群ではアウトカムに有意差は認められなかった.
代償性HF(EF<35%, Cr<2mg/dL, NYHA II-IV) 410例を以下の8群にランダムに割り付け180日以上継続し, 心不全症状, 体重, 血圧, 血液検査所見をフォロー.
(Am J Cardiol 2009;103:93-102)
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水分量
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Na量(NaCl換算)
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フロセミド
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A
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1000ml/d
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2.8g Na/d(7.0g/d)
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250mg bid
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B
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1000ml/d
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2.8g Na/d(7.0g/d)
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125mg bid
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C
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1000ml/d
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1.9g Na/d(4.7g/d)
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250mg bid
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D
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1000ml/d
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1.9g Na/d(4.7g/d)
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125mg bid
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E
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2000ml/d
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2.8g Na/d(7.0g/d)
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250mg bid
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F
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2000ml/d
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2.8g Na/d(7.0g/d)
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125mg bid
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G
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2000ml/d
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1.9g Na/d(4.7g/d)
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250mg bid
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H
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2000ml/d
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1.9g Na/d(4.7g/d)
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125mg bid
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アウトカム: 心不全による再入院リスク
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OR
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Na摂取量: 制限(1.9g/d)
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2.46[1.84-3.29]
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水分量: 2000ml/d
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3.82[2.84-5.14]
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フロセミド: 低用量
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1.84[1.38-2.44]
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心不全による再入院のリスクはNa制限で上昇する結果.
また水分量は2000ml/dより1000ml/dの方が, フロセミド使用量は多い方が心不全による再入院のリスクは低い結果.
この結果からは心不全患者では, 塩分を過度に制限の必要はなく, 塩分7g/日程度で、しっかりと利尿薬を使用することが大事と言える.
過度な塩分制限は逆に予後を悪くさせる可能性がある.
短期的な塩分摂取量の増加は急性心不全リスクとなるか?
慢性うっ血性心不全でERを受診した患者群のうち心不全の急性増悪例と, それ以外の理由で受診した患者群で受診前3日間の塩分摂取量を評価したCase-control study.
(The Journal of Emergency Medicine, Vol. 44, No. 1, pp. 36–45, 2013)
・182例が受診し, 急性心不全は102例, それ以外は79例. 評価不可が1例.
・塩分摂取量は, 受診前3日間の食事内容を評価し, 高塩分含有食品と低塩分含有食品に分類し, スコア化して評価
アウトカム: 心不全の急性増悪リスク
リスクとなるのは薬剤のアドヒアランス不良のみ
塩分摂取は増悪因子ではない結果であった
塩分摂取は増悪因子ではない結果であった
安定した心不全患者では塩分量は≤7g/d程度を目標に指導すべきと言える.
過度な塩分制限は逆に予後を悪くする可能性があり, 6−7g/dとし, 利尿薬をしっかりと使用することが大事.
短期的な塩分摂取量の増加は急性心不全のリスクとはならないが、薬剤アドヒアランスの不良はリスクとなる。当然、過度な塩分摂取量の増大はリスクとなると考えるべきであろう。