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2022年5月18日水曜日

TESTING: IgA腎症に対するmPSL投与を評価したRCT

 IgA腎症の治療については2014年のガイドラインを参照に以前書いたものを参照

(古いかもしれません) http://hospitalist-gim.blogspot.com/2015/12/iga-stop-igan.html

基本的にACE阻害薬やARBを使用し, それでも尿蛋白≥1g/dとなるような症例においてステロイドを考慮するが, ステロイド投与群では感染症や合併症のリスクが上昇する一方で, 長期的な腎機能維持効果は疑問であったため, 適応については十分注意する必要がある, という理解.

2017年にJAMAよりTESTING trialの報告があり, これは以下のような結果で中断された(と聞いた)

(JAMA. 2017;318(5):432-442.)

TESTING trial: IgA腎症で3ヶ月間のACE阻害薬, ARBで治療を行っても蛋白尿1g/d以上でeGFR 20-120ml/分を満たす患者群を対象とし, mPSL群 VS PLACEBO群に割付け, 比較

・除外項目はステロイドが強く推奨される病態, 禁忌の病態がある場合,
過去1年以内の免疫抑制療法の施行歴

・mPSLは0.6-0.8mg/kg/d(最大48mg/d)を2ヶ月間, その後4-6ヶ月かけて減量するレジメ(1ヶ月に8mg/dずつ減量).

・N=262の時点で, 重大な副作用, 合併症がmPSL群で有意に増加したため, Studyは中断(14.7% vs 3.2%, AD 11.5%[4.8-18.2]).

 一方でeGFR低下リスクはmPSL群で有意に低い結果であった.


が, その後mPSLのDoseを減らした方法で継続され, それが2022年に再度JAMAより発表された.

(JAMA. 2022;327(19):1888-1898. doi:10.1001/jama.2022.5368)


TESTING: 蛋白尿≥1g/d, eGFR 20-120mL/min/1.73m2を満たすIgA腎症患者503例を対象としたDB-RCT.

・除外項目は, 他にGCの適応がある, 禁忌がある症例, 1年以内の免疫抑制療法歴がある患者

・mPLS投与群(初回0.6-0.8mg/kg/d, 最大48mgで開始し, 8mg/d/Moで減量, 合計投与期間6-8Mo群) vs Placebo群に割り付け, 腎予後を比較.

N=262の時点でmPSL群に重大な感染症リスクの増大が認められたため, 投与量を0.4mg/kg/d, 最大32mg/d, 4mg/d/Moで減量, 合計投与期間6-9Moに変更し, PCP予防の併用を最初の12wkを行ったレジメに変更し, 継続

・Primary outcome: eGFRの40%以上の低下, 腎不全, 腎疾患死亡.

母集団


アウトカム: Primary outcomeは有意にmPSL群で減少

・eGFRの低下, 腎不全それぞれで見てもmPLS群で予後改善あり

・Full doseでは
HR 0.58[0.41-0.81]



 減量レジメでは
HR 0.27[0.11-0.65]

と双方で予後の改善が認められる.

 (但し減量レジメの場合はフォロー期間は3年程度)


合併症

・重大な合併症はmPSL群で28例(10.9%)
Placebo群では7例(2.8%)

 Full dose群では16% vs 3%

 
減量群では5% vs 3% と減量群では重大な合併症リスクは大きく低下している

・特に感染症ではFull doseで多く, PCPは4例(3%), 他にCryptococcusやTBの併発もあり.


 減量群ではPCPは無し. 


この減量レジメならば比較的安全にIgA腎症における治療が可能と考えられる.