(Rheumatology 2022;61:1831–1840)
FIRST registryにおけるRA患者のPCP予防の効果を評価
・このRegistryは産業医科大学病院第一内科, その関連施設におけるRA患者を対象とし, 登録されたRA患者が新規にb/ts DMARDが開始されると長期観察研究に登録される.
・PCP予防については-2009年とそれ以降の2つの期間で適応方法が変わり,
双方をCohort 1, 2として評価した.
・2003-2009年では, b/ts DMARD切替時に医師の評価の基づいて, PCP予防薬の使用を検討(cohort 1)
・2009年10月以降は, 公表されている予防基準*に加え, 医師の評価に基づいてPCP予防の適応を検討(cohort 2)
*年齢≥65歳, 肺疾患の存在, 経口GCの使用の3項目中 2項目以上を満たす場合に予防を行う 肺疾患はILD, 胸膜炎, びまん性汎細気管支炎, 気管支拡張症, 陳旧性結核, 炎症性結節で定義
-------------------------
補足: bDMARD使用患者におけるPCPリスクを評価した報告
日本におけるInfliximab使用中患者 123例の評価.
(N Engl J Med 2007;357(18):1874)
・65歳以上
PSL ≥6mg/dの使用量
背景に肺疾患あり の3項目がリスク因子であった.
・上記リスクがなければ, PCPは発症はないが, 3リスクがあると8割発症した.
2つ以上満たす場合, PCP高リスクと判断され, 予防が推奨される.
bDMARDsを使用しているRA患者702例の後方研究
(Arthritis Research & Therapy 2014, 16:R43)
・このうち214例でPCP予防を行っていた.
・PCP予防を行わなかった561例のうち, 9例でPCPを発症 予防群ではPCP発症は無し.
・PCPのリスク因子は, 65歳以上, 肺疾患, GCの使用
と, 高齢者, GC使用, 肺疾患の3項目は強くPCP発症リスクとの関連がありそうな報告がでている.
----------------------
導入された患者は3787例.
・Cohort 1が807例. このうち予防が行われたのが113例(ST合剤 109) → PCP発症は1例のみ.
予防が行われなかったのが694例 → PCP発症は12例.
・Cohort 2が2980例. このうち予防が行われたのが1512例(ST合剤 1411) → PCP発症は7例.
予防が行われなかったのが1468例 → PCP発症は6例.
・Cohort 1,2を合わせたリスク因子と 予防の有無によるPCP発症率
リスク因子 | 予防(-) | 予防(+) |
0 | 2/1115(0.18%) | 0/150(0%) |
1 | 4/881(0.45%) | 2/731(0.27%) |
2 | 7/229(3.1%) | 6/600(1%) |
3 | 4/36(11.1%) | 0/144(0%) |
GCの使用有無別のPCPリスク因子の評価
・GC使用例ではリスク因子は年齢のみ
非使用例において, 年齢以外に肺疾患がリスクとなる.
また, 他にIgG低値, リンパ球数低下はPCPのリスクとなる