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2020年9月4日金曜日

BPPVではVit D欠乏が多く, 補充により再発リスクを抑制し得る

 題名の通り. とても衝撃的! 明日からの診療を変えます.

(Neurology. 2020 Sep 1;95(9):e1117-e1125.)

近年, BPPV患者ではVit D欠乏やBMDが低い患者が多いという報告が増えてきている.

・そこでVit D欠乏患者におけるVit D補充で, BPPVの発作リスクが低下するかを評価.


BPPVと診断され, 耳石置換術により改善した症例を対象としたRCT(Blinded-outcome-assessor).

・診断は病歴, 体位による眼振パターンがBPPVに矛盾せず, 他の診断が合わない場合とした.

介入群では, 血清Vit Dを測定し, <20ng/mLの場合, Vit D 400IU + 炭酸カルシウム500mg12, 1年間投与.

・Control群では, 特にVit D投与もその後の評価も行わない.

アウトカムはBPPVの再発リスクを比較した.

母集団

介入群 445例のうちVit D正常が146低下例(<20ng/mL)が299例(67%). 特に<10ng/mLとなる欠乏例は71例(16%)

アウトカム


BPPV発作リスクはVit D + Ca群で有意に低下(NTT 3.7)


特にVit D欠乏が高度なほどVit D + Ca補充によるBPPV再発リスクは低下する

 注) Normal: 介入群におけるVit D正常, 

 Observation: Control群, 

 Decreased: 介入群におけるVit D<20, 

 Deficient: 介入群におけるVit D <10, 

 Insufficient: 介入群におけるVit D 10-20

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BPPVの患者さんは, よく繰り返すことを心配されます.

いままでは再発リスクを軽減させる方法をアドバイスできなかったのですが, これは地味に日常診療にインパクトを及ぼす報告です.

BPPVではVit D値を評価し, 欠乏していれば補充してみる. これは特に繰り返して困っている患者さんには朗報かもしれません.